フィールドセールスに転職したい方必見!必要なスキルや向き不向き、転職成功のコツを徹底解説

近年の営業ではインサイドセールスというポジションが登場し、注目を集めています。同時に外勤営業のことをフィールドセールスと呼ぶようになり、インサイドセールスと同様、関心が高まっています。このフィールドセールスの業務はこれまでの営業の業務とは異なります。本記事ではフィールドセールスの業務内容や転職のポイントを解説していきます。

フィールドセールスとは

フィールドセールスは、見込み顧客へと直接足を運び、対面での商談を通じて信頼関係を築き、製品やサービスを提案する役割です。顧客の悩みや要望を的確に把握し、最適な解決策を提案することでビジネスの成果に大きな影響を与えます。

従来の営業活動では、アポイント獲得や契約後の顧客フォローなどもしなければならず、契約が取れそうな顧客に集中したくても難しかったり、契約の獲得に集中してしまうことで新規開拓や既存顧客のフォローができず成果が毎月安定しなかったりしました。

近年はインサイドセールスという職種が登場し、これまでは1人の営業担当が担っていた業務が分割されるようになりました。まず、インサイドセールスが顧客に電話やメール、DMなどで接触し、ニーズの把握や、製品説明などをします。次にインサイドセールスが契約の見込みが高そうな顧客を選定し、フィールドセールスに引き継ぎます。つまり、直接顧客と接触し、契約をする役割をフィールドセールスが担うということです。訪問するのは成約の可能性が高い顧客となるため、営業の効率化が図ることが可能です。足を運んだのに無駄足に終わることが減りコスト削減にもつながります。

フィールドセールスに必要なスキル

フィールドセールスに求められるスキルとしては以下のようなものが考えられます。

コミュニケーション能力
フィールドセールスは顧客と直接対面するため、コミュニケーションを通じた人間関係の構築が不可欠です。話す力と聞く力によって円滑にコミュニケーションを取る必要があります。顧客の問題を把握し解決策を提案できないと、購買意欲を高められません。また、他部署と円滑に連携するための社内調整力を含めた人間関係構築力も求められるでしょう。

客観視できる能力
物事を客観視できる力はどの仕事でも重要で、フィールドセールスも同様です。自身のセールストークに相手がどのような反応を示しているのか、第三者の立場となって考えることができると、顧客がまだ把握できていない問題点やニーズを解決できます。
また、客観視できる能力が高い人は業務のスケジュール管理も確実にできるため、費用対効果の高い仕事が期待でき社内でも高評価を得られるでしょう。

分析能力
営業活動を支援するツールを使いこなし、見込み顧客や商談の進捗データを分析するスキルも必要です。分析と営業はあまり結びつかないイメージがあるかもしれませんが、製品を売るための根拠が数字で分かることもあるため重要視されるスキルです。
営業職と別にマーケティング部隊がおり、商品に対する分析結果をデータとして算出してもらえる場合もありますが、この知識を持つフィールドセールスは重宝されるでしょう。

論理的思考力
論理的思考力はロジカルシンキングとも呼ばれ、物事を整理して方向性を考える思考力のことです。顧客に商品やサービスを説明し、理解され、納得させるためには必要不可欠な能力です。納得させるためには根拠に基づいた分析が必要となるため、矛盾のない話の組み立てができるかどうかで成約率は大きく異なるでしょう。

業界知識を課題解決能力
顧客が直面する具体的な課題を理解し、自社の製品やサービスを活用して問題を解決するスキルが重要です。業界全体のトレンドを把握し、適切な提案をすることも期待されます。

フィールドセールスに向いている人

どの仕事、職種にもいえることですが、スキルだけあればいいというわけではありません。
フィールドセールスにもさまざまなスキルが求められます。どんな人がフィールドセールスに向いているのでしょうか。

提案力や説明力がある人
営業職において欠かせないのが『提案力』と『説明力』です。営業が成果を上げるためには、顧客やクライアントに自社の商品やサービスの内容を理解してもらい、その商品を『良い』と思ってもらったり必要を感じてもらったりすることで、契約・受注につながります。どれだけ自社の商品やサービスの内容が優れていたとしても、営業担当者の提案や説明が分かりづらく、伝わらなければ受注率は上がりません。

顧客目線で物事を考えられる人
顧客目線で物事を考えられる人もフィールドセールスに向いているでしょう。フィールドセールスの役割は顧客が抱えている課題や悩みを一緒に解決していくことであるため、顧客目線は必要不可欠です。自分目線でものごとを考えがちな人や視野が狭い人、こだわりが強い人はフィールドセールスに不向きかもしれません。
フィールドセールスが成果を最大化させるためには、顧客の立場や状況を正しく把握した上で、どんな方法が良いのかを考えることが重要です。きちんと相手の話に耳を傾け、顧客のことを考えられることがポイントになるでしょう。

マルチタスクが得意な人
マルチタスクをこなせる人もフィールドセールスに向いているといえます。フィールドセールスの業務は提案、商談、クロージングが中心になりますが、その他にも細々とした作業や業務が多数あります。複数顧客を抱えていると、顧客ごとの進捗確認やプレゼン資料の作成、状況把握や管理が必要になります。複数の業務を効率よく進めるためにタイムマネジメントのスキルもフィールドセールスには求められます。一つのタスクや業務に注力する方よりも、複数のタスクをバランス良く進められる人がフィールドセールスの仕事において重宝されます。

柔軟性や臨機応変に対応ができる人
フィールドセールスの業務では予期せぬ事態が起こる事が多く、その場の状況に合わせてアクションを変えられる力が必要です。全ての業務がマニュアル化されたルーティンワークを希望する人はフィールドセールスには不向きかもしれません。
商談内容や提案方法は顧客ごとに違い、会話の広げ方や話し方、表情の作り方など、自分の正解を探す事も大切ですが、その場面に適した方法を考えることも必要です。

真面目で丁寧な仕事ができる人
顧客との信頼関係を築いていくには人としての信頼を勝ち取る必要があります。細かい作業にも誠実に向き合い、顧客のことを最優先に考えられる人がフィールドセールスに向いているでしょう。
問い合わせに対する返事を返さなかったり納期を守れなかったりすると、営業としてはもちろんですが人としての信頼を得ることはできません。顧客やクライアントと良好な関係を築いて継続させていくためには、真面目さや丁寧さといった能力を備えている必要があります。

フィールドセールスの将来性

フィールドセールスは、デジタル化が進む現代の営業環境において価値が見直されています。特に複雑な商材や高度な知識が求められるBtoB分野では、顧客との直接的なやりとりを通じて信頼関係を構築し、課題に合わせた解決策を提案するフィールドセールスの存在が不可欠です。ここでは、フィールドセールスを積極採用をしている業界や組織の動向を見ていきます。

デジタルツールの導入と連携
営業プロセスの効率化を目的に、CRM(顧客管理システム)や営業支援ツールが活用されています。これにより、データを活用した戦略的な営業活動が可能になり、フィールドセールスにはより精度の高い提案が求められています。

カスタマーサクセスとの一体化
契約後のサポートや長期的な顧客関係の維持を目指すカスタマーサクセス部門との連携が重要視されています。これにより、営業担当者は契約獲得だけでなく、顧客の成功に貢献する役割を果たします。

ニーズの多様化
顧客の課題が複雑化、多様化する中、単なる製品の販売ではないソリューション提案型の営業が求められています。このため、業界知識やコンサルティングスキルがフィールドセールスにとって大きな武器となります。
これらの動向を背景にフィールドセールスはますます注目されています。特に、営業活動におけるデータの活用や、既存顧客の対応に重点を置いた戦略の立案が今後の鍵となるでしょう。

また現在、効率的に見込み顧客へアプローチする方法としてオンラインでの営業が取り入れられています。しかし、人間は聴覚よりも視覚情報が与える影響の方が大きくなりがちなため、フィールドセールスの『対面営業』が与える影響力、信頼感に勝るものはありません。顧客は、文面で質問しにくい部分も対面であればニュアンスを伝えることができるので、不安を解消しやすく成約にもつながりやすいでしょう。
オンラインの利便性が一般的になった現在でも、フィールドセールスという営業手法は生き残り、今後もなくなることはないでしょう。

フィールドセールスが活躍できる業界とは

フィールドセールスはさまざまな業種や業界で取り入れられている営業方法です。特に向いているのは、顧客が商品の特徴や性能などを正しく理解しにくい製品やサービスを取り扱う業種や企業です。ここからはフィールドセールスが活躍している業界を見ていきます。

SaaS業界
SaaSはサブスクリプションモデルと呼ばれる継続課金型のビジネスモデルで、売り切りではなく、継続利用してもらうことで収益を上げる仕組みです。フィールドセールスは製品情報と必要な費用などをクライアントごとに説明します。SaaSによっては多くの機能が含まれており、『どの機能をどう利用すると効果的なのか』にフォーカスして営業をします。

ソフトウェア業界
ソフトウェア業界は高度な技術を要するため、顧客と直接会って対面で説明する機会が多いため、フィールドセールスが効果的といえます。また、業界ごとに異なる要件を満たす必要があるため顧客のニーズに合わせたカスタマイズや調整が必要です。

医療機器、医薬品
医療機器や医薬品を扱う業界でもフィールドセールスが効果的です。医療機器や医薬品は、安全や効果に関する高い規制を設けるため、顧客と直接会って製品の説明をする必要があります。

産業機械、設備
産業機械や設備を扱う業界でもフィールドセールスは効果的です。産業機械や設備は、大規模な投資が必要であるため、顧客と直接会って製品の性能や利点を説明する必要があります。また、産業機械や設備は使用される場所や用途によって異なるため、顧客ごとのカスタマイズや調整が必要になります。

建設、不動産
建設業界や不動産業界でもフィールドセールスが効果的です。建物や土地の状況を把握するには多様な要件や規制があり、それらを顧客に正確に伝えるためには、実際に現場に足を運ぶことが必要不可欠なためです。

フィールドセールスは未経験からでも転職できる?

フィールドセールスに転職するのは難しいことではありません。ただ、営業未経験者がフィールドセールスを目指す場合は難易度は上がるでしょう。ここでは、未経験からフィールドセールスを目指すためのヒントを紹介します。

志望理由を明確にする
最も重要なのは、なぜフィールドセールスを選んだのか、営業としてどうなりたいのかといった志望動機を明確にし、熱意をアピールすることが重要です。企業も熱意を重視しています。熱意があれば入社後もモチベーションを維持したまま働くことができるでしょう。
ただ、熱意だけをアピールしても志望理由としては弱いので注意が必要です。前職で培ったスキルや経験をどう生かしていくかを盛り込んでアピールしていきましょう。

自分の興味がある業界を選ぶ
興味ありチャレンジしたい分野なら、業界知識や商材知識を深めることは容易です。商材への興味も一層湧くことで意欲を持って働き続けられるでしょう。

信頼できる人材であることをアピールする
提案力やコミュニケーション力、ヒアリング能力、課題解決能力など、営業にはさまざまなスキルが求められますが、中でも最も大切なのは、顧客から信頼してもらえる人間力です。
特にフィールドセールスは、顧客との一度の対面機会で『この人からなら、買っても大丈夫だな』と思わせる人間力が求められます。顧客の課題を解決する最も有効な対策を提示するだけではなく、クロージングでは顧客に安心感を与える必要があります。

業務内容をチェック
書類選考を受ける前に業務内容を確認しておきましょう。例えば、ルート営業と新規営業のどちらを担当するのか、顧客のアフターフォローまで担当するのかなどです。
ルート営業とは、既にクロージング済みの顧客に対する営業を指します。関係性が構築されているため、新規営業と比べると精神的負担が少ないケースが多いでしょう。また、昨今のグローバル化を受け、拠点を海外に拡大する企業も増えています。海外営業の可能性があるのかどうかも事前に確認しておきましょう。

転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用すると、条件の良い非公開求人の紹介を受けられる可能性もあります。非公開求人とはその名の通り、転職サイトには公開されず、エージェントの紹介のみで応募できる求人のことです。これまでのスキルや経験に自信のある方は、自分で探すよりも良い条件の求人を見つけられるでしょう。
また、企業と独自のパイプを持っているエージェントも多く、転職サイトや企業HPからでは得られないリアルな情報を入手できる可能性があります。例えば、職場の雰囲気や離職率といった情報です。

フィールドセールスの転職を成功させるポイント

ここから、フィールドセールスへの転職を成功させるためのポイントを紹介します。

自分のキャリアビジョンを明確にする
フィールドセールスへの転職を成功させるためには、自分のキャリアビジョンを明確にする必要があります。キャリアビジョンが明確でないと『なりたい自分』とのひも付けが難しく、遠回りしたキャリアを歩む可能性が高まります。
何を目的にしてフィールドセールスとして働きたいのか、フィールドセールスとして習得したいスキルとは何かを考え、キャリアビジョンをつくり上げましょう。

業界知識や商材知識を深める
フィールドセールスへの転職を成功させるには、業界知識や商材知識を深めることも重要です。知識量によって顧客への説得力が変わるため、売上に影響を及ぼす可能性が大きいためです。
知識量によって志望度の高さも測られます。本当にその業界に転職したい人は、意識をして知識を増やす努力をしているものです。企業は意欲のある人を優先的に採用したいと考え、即戦力を期待するものです。事前に業界への知識を習得することで、転職後の業務をスムーズに進められます。

フィールドセールス転職後のキャリアパス

フィールドセールスとして働く上で、将来のキャリアをどう描くかは重要な課題です。この職種には多様な成長の方向性があるため、自身の適性やスキル、目標に応じてキャリアを築くことが可能です。以下にキャリア形成のポイントを挙げていきます。

①目標の明確化
自分が何を目指すのかを明確にすることがキャリア設計の出発点です。将来的にマネージャーとしてチームを率いるのか、それとも専門性を追求してコンサルタントやスペシャリストを目指すのか、方向性を定めておきましょう。
②スキルの棚卸しと向上
営業活動を通じて培ったスキルを振り返り、どの部分を強化すべきかを見極めます。特に、コミュニケーション能力やデータ分析スキル、問題解決力の向上がキャリア形成に役立ちます。
③業界や企業の将来性を見極める
自分が働く業界や企業が今後どのように発展していくかを把握することも重要です。例えば、成長中の市場や新たなプロダクトを開発する企業での経験は、大きなキャリアアップの機会をもたらします。
④フィードバックの活用
上司や同僚、顧客からのフィードバックを積極的に活用することで、自身の課題や改善ポイントを把握することが重要です。例えば、成長中の市場や新たなプロダクトを開発する企業での経験は、大きなキャリアアップの機会をもたらします。

キャリアパスを考える際には、短期的な目標と長期的な目標をバランスよく設定し、自分の成長を実感して進めることが大切です。ここからは、フィールドセールスからのキャリアアップとして代表的なキャリアパスについて詳しく解説します。

フィールドセールスマネージャーなどの管理職
営業活動の現場経験を生かし、チーム全体を管理・指導するマネージャーへの道は、自然なキャリアパスの一つです。フィールドセールスマネージャーは、チームの業績に責任を持つ役割であり、チームマネジメント能力、戦略的思考力、そしてデータを活用して営業活動を効率化する分析スキルなどが求められます。

営業コンサルタント
営業活動で培った顧客とのやりとりや課題解決能力を武器に、営業コンサルタントとしてキャリアを広げる選択肢もあります。営業戦略の立案・実行、営業手法の改善、営業人材の育成など、支援範囲はさまざまです。クライアントの営業活動を深く理解し、それに応じた支援をする必要があるため、高いスキルと経験が求められます。具体的には業界知識や課題解決力、信頼関係の構築が求められます。現場営業というより経営者の感覚を持ち、顧客に応じてさまざまな提案をします。
営業コンサルタントは、営業として実績を上げて管理職を経験し、外部からの信頼も厚い人物が選択することが多いようです。

アカウントエグゼクティブ
アカウントエグゼクティブとは、フィールドセールスの中でも大口顧客を担当する営業担当者です。大口顧客を担当するということは、責任を持つ数字も大きくなり、所属企業にも大きく貢献する可能性を秘めているといえます。成果が出た場合の評価もその分大きく、営業の中でも花形として扱われることも多いでしょう。

営業企画
営業戦略の立案をしたり、現場の営業の教育を担当したり、コンテンツを作成したりと企業によってその役割は大きく異なります。
どの道を選ぶにしても、フィールドセールスで培った経験が大きな武器となります。また、将来的には他の部門や関連職種への異動も視野に入れることで、より柔軟なキャリア構築が可能になるでしょう。

まとめ

フィールドセールスは、直接顧客と向き合い、信頼関係を築きながら商談を進める営業スタイルとして、今後も重要な役割を果たす職種です。新型コロナウイルスの影響もあり、対面での営業の機会が減少しつつある中、限られたチャンスを確実に獲得するために、効率的な営業活動をすることが求められます。その魅力ややりがいは、単なる売上の達成だけでなく、顧客の課題を解決し、長期的なパートナーシップを築くことにあります。柔軟な姿勢で新しいスキルや手法を取り入れながら、長期的なキャリアを築いていきましょう。