インサイドセールスが「やめとけ」「辛い」と言われる理由は?仕事内容・やりがいについて解説!

本記事では、近年注目を浴びているインサイドセールスという職種について解説します。この記事を読んでいる方の中には、『現在営業マンとしてキャリアを歩んでいる方』『今後営業職に就く予定の方』『インサイドセールスについて知りたい方』が多いと思います。

インサイドセールスのニーズが増えている背景

昨今、インサイドセールスという職種が増えています。インサイドセールスは営業プロセスの一種であり、電話やメールなどを用いて企業と顧客を商談に繋げる役割です。インサイドセールスが増えてきた背景には、SaaS(※)企業の台頭やコロナ禍の影響が大きいと言えます。新型コロナウィルスの影響により、対面の商談がコロナ禍前に比べて少なくなりました。また、株式会社セールスフォース・ジャパンが掲げた営業プロセスモデルの一つである、『The Model』の影響もあります。(※SaaSとはSoftware as a Serviceの略であり、クラウドサービスとして提供されるソフトウェアのことを指します)
The Modelでは、営業プロセスを『マーケティング』『インサイドセールス』『外勤営業(フィールドセールス)』『カスタマーサクセス』の4つに分類しています。営業プロセスを4つに分けることで、1つ1つの段階で顧客を次のステップへ進める確率を上げたり、各段階での問題点を可視化できたりします。例えば、インサイドセールスから外勤営業への移行で顧客の数が大きく減っていた場合、インサイドセールスの方法に問題があると分析できます。企業の営業効率を上げるプロセスとして、The Model型営業が注目を浴びているため、インサイドセールスが増えているのです。

インサイドセールスの重要性

インサイドセールスは顧客と最初の接点を持つポジションのため、The Modelの4つの段階でも重要な位置付けがされています。最初に顧客との関係性を上手く築けないと、商談に繋がらないどころか企業全体に対して不信感が生まれ、契約の難易度が高まります。そのため、企業の第一印象を握っている非常に重要なポジションと言えます。また、新型コロナウィルスの蔓延によりビジネスの場でも対面コミュニケーションが少なくなりました。そのような状況で、リモートで営業をかけられるインサイドセールスは、ハイブリッドワークが進む今後の社会においても重要なポジションです。

インサイドセールスが抱える悩みやそのやりがい、将来性などを解説します。是非、知見を深めて、業務やキャリアの選択に役立ててください。

インサイドセールスはなぜ「辛い」「やめとけ」と言われる?

インサイドセールスは、前述した通り顧客と最初の接点を持つため、営業プロセスで非常に重要なポジションですが、中には「辛い」「やめとけ」といった声も散見します。それは、なかなか外勤営業にバトンを渡すことができないからです。外勤営業にバトンを渡す上で見られる課題を紹介します。

対応すべき顧客の数が多い

インサイドセールスは、電話やメールで顧客との接点を作れるため、手軽に営業活動を行えます。外勤営業であれば、対面でのコミュニケーションを必要とするため一人で対応できる顧客数に限りがあります。しかしインサイドセールスはオフィスや自宅から、次々に電話をしたりメールを送ったりすることが可能です。そのため、対応できる顧客の数が外勤営業と比べて多くなります。顧客ごとに適切な対応が異なってくるため、『どの顧客に電話をしたか』や『商談に繋がった顧客はどの顧客か』など顧客の情報の管理が重要になります。顧客リストの管理を怠ってアタックが重複してしまうと、企業の信頼を失うことに繋がるからです。しかし、重複しても諦めずに、アタックの方法を変えて地道にセールスをかけ続けることも1つの方法です。むしろ、2周目からが本番だと考え、改善と修正を重ねて営業活動に取り組みましょう。

顧客との信頼構築に時間がかかる

インサイドセールスでは、電話やメールなどを用いてアポイントを取るため、顧客と顔を合わせる機会がありません。そのため、顧客との信頼関係の構築に時間がかかってしまいます。電話やメールでは営業担当者の伝えたいことなどが伝わりづらく、些細なミスで不信感が高まることもあります。また、一方的に電話口で話していても飽きられてしまうため、端的に相手にメリットがある情報を提示しないと取り合ってもらえません。さらに、電話の場合は話したい人と話すことすらできない場合もあります。
企業によりますが、大手企業では受付の人が最初に電話に出ます。そこから用件を伝えたい人に代わってくれるかどうかも分かりません。企業によっては取引のない得意先の電話は繋げないというルールが存在するため、そもそもターゲットの人と話せないことがあるのです。
実際の営業活動でも、対面の営業であれば人柄がよく伝わり適切なコミュニケーションが取れるため、十分に話を聞いてくれて、契約に繋がる可能性があります。しかし、声だけの情報では情報が不足し怪しく感じられてしまうことがあり、導入を断られることがあります。そのため、電話やメールを用いるインサイドセールスでは、断られることを前提として取り組むことが重要です。断られる度にショックを受けていては効率が悪くなるからです。

板挟みになりやすいポジション

インサイドセールスは、顧客と外勤営業の間で板挟みになりやすいポジションでもあります。それは、インサイドセールスと外勤営業の考えが一致していないために起こります。The Model型の営業プロセスでは、営業プロセスの段階ごとに担当する人も異なる場合が多いです。インサイドセールスが外勤営業との商談に繋げるために伝えた内容が、外勤営業が伝えたい内容と異なる場合、顧客側からすると一貫性が感じられません。そのため、『電話で言ってた内容と違う!』などのクレームが生じ、顧客と外勤営業との間で板挟みになる場合があります。しかし、インサイドセールスと外勤営業は営業プロセスの段階が異なるため、重複して顧客にアタックすることを防ぐというメリットも生まれます。対応する顧客の数が多いため、インサイドセールスが営業する顧客リストをきちんと管理することが重要です。

外勤営業(フィールドセールス)と細かい調整が必要

上述した通り、インサイドセールスは顧客と外勤営業との間で板挟みになるケースが散見されます。そのため、外勤営業と細かく情報共有をして顧客情報に一貫性を持たせる必要があります。また、インサイドセールスが感じた顧客の特徴を外勤営業に伝えることにより、外勤営業側も顧客に対して適切な対応ができ、顧客と良い関係を築いたままカスタマーサクセスに繋ぐことができます。The Model型で営業プロセスを4つの段階に分類することによって、それぞれの段階で動いてる人が『次のステップに繋げること』のみを主な目的とするのは間違いです。最終目標はどの段階においても『契約成立』にあるため、インサイドセールスと外勤営業に限らず、企業として一貫性を持った対応を心がけることが重要です。

インサイドセールスのやりがい

ここまで、インサイドセールスの悩みや難しさを紹介してきました。しかし、インサイドセールスは大変な職種だからこそやりがいも多数存在します。ここからは、インサイドセールスのやりがいについて紹介していきます。

顧客との最初の接点を任されている

企業は顧客の新規開拓をする上で、どのように接点を持つのかという問題があります。メールの場合、文字による訴求力は実際の声に比べて低く、ましてや顔も知らない相手からのメールなので無視されてしまうことが多いです。そこでよく使われる手法が電話を使ったテレアポになります。インサイドセールスによるテレアポの最大の目的は、顧客と新たな接点を持ち商談に繋げることです。商談に繋げるためには、まず自社のサービスの話を伝えるだけでなく、顧客に焦点を当てて話を展開することが重要です。自社のサービスの話ばかりしていると、顧客は営業感が強く感じられ導入を自分ごとに感じられず、営業活動が失敗に終わります。そのため、『顧客の課題を上手くヒアリングし、その課題に対するサービスの提案をする』ことが重要になります。顔も分からない相手と電話越しに話し、商談に繋げることはとても難易度が高いですが、その分商談に繋がれば大きなやりがいになります。

PDCAサイクルが早いため成長できる

インサイドセールスは対応する顧客の数が多くなる分豊富な実戦の経験を積めます。顧客の反応を見て電話の言い回しやメール文面を修正することで、どういった対応が適切なのかが分かり、セールスの成功率を上げられます。そのようにPDCA(Plan Do Check Act)サイクルを回していければ、自身の成長にもつながるでしょう。
インサイドセールスに限らず、PDCAサイクルを回せる人はどの業務でも活躍できるでしょう。例えば、マーケティングでは顧客が購買に至るまでのデータを分析し、施策を打って改善し、実行することを繰り返します。その際に、KPI(重要業績評価指数)などを定め、『自身が現在どの状況なのか』や『いつまでに目標を達成させるか』などを明確にすることで、効率よくスピード感を持って行動できます。インサイドセールスは難易度の高い業務だからこそ、PDCAサイクルが必要になる場面が訪れます。自らPDCAサイクルを回し、次の機会に活かせる人は特に成長でき、やりがいを感じられるでしょう。

他部署との連携が成果につながる達成感

インサイドセールスでは他部署との連携がうまくいき、成果に繋がったときにやりがいや達成感を感じられます。The Model型の営業プロセスでは、それぞれの段階が独立しているように見えますが、実際は一本のラインで繋がっています。最終目標は企業全体として『契約成立』にあるので、インサイドセールスは他部署との連携が契約を勝ち取る、キーポイントとなります。インサイドセールスでヒアリングした顧客の課題に対する対応を、フィールドセールスが前もって準備し、解決することができ契約に繋がった場合成果に繋がります。
逆に、インサイドセールスでは、契約成立に関しての成果が可視化しにくいといった意見もあります。最終的に契約を成立させた人が評価されているように感じ、やりがいを感じられなくなる人もいるのです。しかし、インサイドセールスなしでは、その契約成立という結果は決して得られず、非常に重要かつ難易度が高いポジションです。縁の下の力持ちとして他部署をサポートし、連携で成果を挙げられればやりがいを感じられます。是非自身の活躍と成長に目を向けてみてください。

インサイドセールスの将来性

ここまで、近年注目を浴びているインサイドセールスの基本やその悩み、やりがいについて説明してきました。次はその将来性に触れていきます。

結論からいうと、インサイドセールスの将来性は非常に高いと言えるでしょう。その理由として、新型コロナウィルスの蔓延により営業の在り方が大きく変化したことが挙げられます。対面せず顧客に訴求する力は、これからの社会でより必要になってきます。それは、営業を効率化する上で非常に重要であり、その分難しいことでもあります。アフターコロナの世界では、以前のように対面の営業が主流に戻るのではないかという意見もありますが、時代は大きく変化しており従来の当たり前がどんどんと当たり前ではなくなることが多いです。

具体的には、学校の授業などでも対面授業とオンライン授業を併用するハイブリッド型の授業が増えています。リモートワークを推奨する企業も該当するでしょう。『Withコロナ』の概念通り、完全にコロナ禍前の生活は戻ってこない可能性もあります。Zoomなどの便利なツールが浸透し、これからのコミュニケーション自体が身体的安全性を担保したものが好まれるかもしれません。

実際インサイドセールスのポジションは増えています。特に、無形商材を扱うSaaS企業では、サービスを対面で見せるわけではないので、インサイドセールスが非常に効果的・効率的です。現代のテクノロジーの発達により、SaaS企業が増えていることが、インサイドセールスのポジションの増加に起因しているのです。今後も、よりテクノロジーが発達し、SaaS企業の増加が増え続けるとなるとインサイドセールスの需要はより高まります。そのため、これからの時代においてインサイドセールスの将来性は非常に高いと言えます。

まとめ

ここまでインサイドセールスという職種や、その難しさについて説明してきました。インサイドセールスは新型コロナウィルス蔓延による時代の変化にマッチした営業スタイルだと言えます。従来の対面の営業に比べ、電話やメールで商談に繋げることは非常に難しいのですが、やりがいや自身の成長に繋がることはもちろん、とても将来性が高く市場価値を上げたい人にオススメの職種です。また、インサイドセールスに必要なのは、PDCAサイクルを回す力と、断られ続けてもすぐに諦めないことです。社会の変化に対応したインサイドセールスという職種を極めたい方にとって、この記事が役に立ってくれれば幸いです。

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