
インサイドセールスを勉強する際に読んで欲しい本を紹介!営業ノウハウや理論を学べる本を厳選
インサイドセールスは、営業の効率を飛躍的に高める手段として、近年ますます注目を集めています。多くの企業が導入を検討する一方で、「どう始めたらいい?」「運用がうまくいかない」といった悩みを抱えているのも事実でしょう。また、SaaSビジネスの台頭により、インサイドセールスはカスタマーサクセスとの連携を強化し、顧客のLTV(顧客生涯価値)向上に貢献する重要な役割を担うようになってきています。
この記事では、インサイドセールスに関する基本知識から導入方法、さらに成果を最大化するためのポイントまでが学べる、インサイドセールスを学ぶためのおすすめ本を厳選してご紹介します。
インサイドセールスとは?その役割と最新トレンド
インサイドセールスとは、電話やメール、Web会議システムなどを活用して、非対面で顧客にアプローチする営業手法です。主にマーケティング部門が獲得した見込み顧客を営業部門に引き継ぐ役割を担います。
見込み顧客にとって役立つ情報を提供し、良好な関係を築きながら購買意欲を高めていく「リードナーチャリング(顧客育成)」が主な役割です。インサイドセールスが育成した見込み顧客の情報は、フィールドセールス(外勤営業)に引き渡され、顧客の課題解決に貢献する具体的な提案へとつなげられます。
特に近年は、商談が成立した後の顧客フォローにもインサイドセールスが関与し、カスタマーサクセス部門と密接に連携しながら、顧客のオンボーディング支援や活用促進、さらにはアップセル・クロスセル機会の創出にも貢献するケースが増えています。
このように、見込み顧客の育成から課題の特定、そしてその後の顧客育成までをインサイドセールスが担うことで、従来の「営業担当者の経験や勘」「闇雲な電話や訪問」といった非効率なアプローチを減らし、データに基づいた効率的な営業活動が可能になります。対面営業で必要な移動が不要になり、より多くの顧客にアプローチすることで営業効率を上げられるため、多様な企業がインサイドセールス部門を立ち上げ、その重要性は高まる一方です。
インサイドセールスを学ぶのに本は有効?そのメリットとは
新しいビジネススキルを身につける方法として、インターネットを使った独学やワークショップ、セミナーへの参加など多岐にわたりますが、インサイドセールスについて学びたい方には、まず本を読むことを強くお勧めします。
その理由は、インサイドセールスに関する本を読むことで、リスクなく、かつ効率的に質の高い知識を習得できるためです。BtoB事業の場合、取引金額や事業規模が大きく、関わる人も多いため、自身の実践や経験だけに頼ってスキルを身につけるには大きなリスクが伴います。
一方で、インサイドセールスの専門書は、マーケティングに成功したり、大手企業で経験を積んだ著者の成功例や失敗例を基に執筆されています。これにより、効率よく体系的な情報を収集できるのです。初めてインサイドセールスを学ぶ方は、まずインサイドセールス関連の本を通じて、経験者のノウハウを学ぶことが特に効率的と言えるでしょう。
インサイドセールスは、『コミュニケーションスキル』『情報収集スキル』『ヒアリングスキル』『商品説明スキル』『マーケティングスキル』、そして『デジタルツールの活用スキル』など、さまざまな知識やスキルが求められる仕事です。実践を通して身に付けることが重要ですが、その基礎となる知識や考え方がなければ、そもそも何から始めればいいか分からない方も多いでしょう。インサイドセールスに関する本を読むことで、他の方法では得られない多くの学びを得られます。項目ごとに見ていきましょう。
理論的な知識を体系的に習得できる
インサイドセールスは、理論的な思考力や戦略的な視点も必要とします。営業テクニックや対話スキルはもちろん、業界のトレンドや新しいテクノロジーの活用方法、顧客の心理など、幅広い知識も求められます。インサイドセールスの本を読むことで、これらの知識を体系的に習得可能です。
成功者の知見やノウハウが詰まっている
インサイドセールスを実践するには幅広い知識やスキルの習得が必要です。実践を通じて学ぶことも大事ですが、多くの企業では一定の期間内で成果を出すことが求められます。そうした際に、インサイドセールスの本を読むことで、他の成功者や専門家の視点や知識、経験を学ぶことができます。その結果、失敗リスクを抑え、最短距離でのゴール達成を実現します。
自分のペースで学習できる
動画やセミナーと異なり、インサイドセールスの本は自分のペースで読み進めることができ、理解度に応じて何度も読み返すことも可能です。さらに、本格的な専門書から一般向けのビジネス書まで、幅広いレベルのものがあるため、自分のスキルレベルやニーズに合わせて選ぶことができます。
インサイドセールスの基礎を学ぶ本
ここ数年で大きく変化した顧客の購買行動や次々に登場する新たなビジネスモデルに対応すべく、多くの企業がインサイドセールスに注目しており、ノウハウ書や専門書籍もたくさん出版されています。これからインサイドセールスを学ぶ方に向けて、まず手に取るべきインサイドセールスの基本書を紹介していきます。
『デジタルインサイドセールスー最新テクノロジーによる法人営業改革の実践』吉田 融正/ダイヤモンド社
このインサイドセールスの本は、AIを中心にデジタルテクノロジーを使ったインサイドセールスの実践法を紹介しています。著者の吉田氏は、IBMやシーベル・システムなど大手企業での営業責任者としての経験を持つインサイドセールスの第一人者です。 インサイドセールスを営業プロセスに加えることで、営業活動を効率的かつ効果的に実施できるようになり、そこへデジタルテクノロジーを活用することで、その効果を最大化させられます。インサイドセールスの有効性はもちろん、こうしたデジタルインサイドセールスの営業戦略について学ぶことができます。インサイドセールスはもちろん、DX(デジタルトランスフォーメーション)についても理解を深め、人材不足が深刻化する現代の営業戦略を見直すのに適した1冊と言えるでしょう。インサイドセールスの最新トレンドを学びたい方におすすめの本です。
『THE MODEL(MarkeZine BOOKS)マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』/翔泳社
マーケティングとインサイドセールス、そして営業を分業化した『The Model』という営業プロセスは、現代のBtoBビジネスにおいて欠かせない概念です。このインサイドセールスの名著では、マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスのそれぞれの役割、具体的な運用方法について詳細に解説しています。 本書は、『The Model』を実現するために必要な要素(各部門間の連携、戦略、人材・組織マネジメントなど)についても詳しく解説しており、営業の全体プロセスを俯瞰的に理解できます。インサイドセールスのみならず、効率化を含めた営業プロセスの全体的な見直し、特にカスタマーサクセスとの連携を強化したい企業にとって必読のインサイドセールスに関する本と言えるでしょう。
『インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド』茂野 明彦/翔泳社
セールスフォースとビズリーチのインサイドセールス部門を立ち上げた茂野氏が、インサイドセールスの立ち上げから運用までの知識や実践的な方法を紹介しているインサイドセールスの実践書です。 非対面で営業活動を効率的に進め、売上へとつなげるためのバイブルと言えるでしょう。検討段階から導入後までの一連の知識が学べるため、これからインサイドセールスの組織を立ち上げる方には是非読んでみてほしいインサイドセールス入門書です。 なお、インサイドセールスの採用からKPI設定、テクニックなど具体的な業務についても解説されており、インサイドセールスへの転職を考えている人にも役立つ内容になっています。
『インサイドセールス 究極の営業術 最小の労力で、ズバ抜けて成果を出す営業組織に変わる』水嶋 玲以仁/ダイヤモンド社
Microsoft、DELL、Googleなど、世界有数の外資系企業で20年間インサイドセールスとして活躍した著者が、訪問不要で成果を増加させるインサイドセールスの理論と実践のノウハウをまとめた一冊です。インサイドセールスの仕組みだけではなく、協創と自律性を重視した組織作りやPDCAの素早い回転、自走できる人材育成のノウハウを解説しています。KPIマネジメントの在り方や、BANT(予算、権限、ニーズ、導入時期)の聞き出し方もわかりやすくまとめられています。日本国内においてインサイドセールスを牽引する企業へのインタビューもされており、ケーススタディを通じて具体的に現場をイメージしながら理解を進められるでしょう。インサイドセールスに関する書籍の中でも、より実践的なノウハウが詰まっています。
インサイドセールスの実務を学ぶ本
インサイドセールスは有効な営業手法の一つですが、それだけで全てが完結するものではありません。チームマネジメントやフィールドセールス、そしてカスタマーサクセスとの連携も求められ、これらを含め全体的な営業戦略を考えることが重要です。例えばインサイドセールスで多くの顧客と接点を持てていても、バトンを受け取ったフィールドセールスやカスタマーサクセスがうまく機能しなければ意味がありません。ここからは営業活動やチームビルディングなど、インサイドセールスに限らず営業組織の改革に役立つインサイドセールス関連の本を紹介します。
『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』山下貴宏/かんき出版
このインサイドセールス組織論に関する本は、マーサージャパンでコンサルティング業務に携わる山下氏の著書で、最先端の営業育成を目指し、全ての営業が成果を出せるような戦略と実践について書かれた一冊です。 セールス・イネーブルメントとは営業成果を出し続ける人材育成、そして組織改善・強化を目的とした仕組みのことで、大手企業での事例などを交えながら解説されています。イラストを用いた説明は分かりやすく、セールス・イネーブルメントという言葉を初めて聞く方でも理解しやすい内容になっています。組織・人材開発の視点から営業の生産性を高め、勝つために必要な営業組織の作り方について体系立てて学ぶことができるでしょう。インサイドセールスチームの強化を考えている方に特におすすめの本です。
『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』高橋浩一/日経BP
コロナ禍で増えたオンライン商談。しかし時代の変化に対応しきれず、課題を抱えている企業は多いでしょう。このインサイドセールスにも通じる本ではそうした課題に対する解決策を提案し、コロナ禍において目指すべき新しい営業戦略を丁寧に解説しています。具体的には『強い営業チーム』が必須であるとし、そのための勝ちパターンや活動実態の見える化、人が育つ仕組み、コミュニケーションのバランスを取り上げています。何をすべきかが整理されているので、すぐ実践に活かせるノウハウが詰まっています。
『営業の「聴く技術」新版ーSPIN「4つの質問」「3つの説明」』古淵 元龍、大堀 滋/ダイヤモンド社
営業活動では自らが話すのではなく、顧客の声を「聴く」ことが重要です。この考え方を土台に必要な質問技法などの実践的なスキルを学ぶことができます。顧客の抱える経営課題を明確化すると共に、ニーズを引き出して顕在化させるための質問力を磨き、商談の成約率を高めていくために読んでおきたい一冊です。インサイドセールスにおいても、ヒアリングスキルは成果を出す上で非常に重要であり、この本で学ぶスキルは直接的に役立つでしょう。
インサイドセールスを学びながら併せて読みたい本
ここまで基礎編、実務編とご紹介してきました。そして、さらに営業力を上げるには多角的な視点が必要です。既にインサイドセールスとして活躍している方や、もっと幅を広げたい方におすすめのインサイドセールス関連の書籍を紹介します。
『訪問しない時代の営業力強化の教科書 営業×マーケティング統合戦略』渥美英紀/翔泳社
このインサイドセールスの戦略書は、セールスフォースとパーソル総合研究所の共著による、営業の参考書とも言える一冊です。新型コロナウイルスの影響などで急速に進んだオンライン化や、変化する営業とマーケティングの在り方に焦点を当て、的確な施策を選択するためのノウハウがまとめられています。営業戦略や営業マネジメント、営業スキルアップ、営業人材育成、SFA、MA、インサイドセールス、カスタマーサクセス、マーケティング、総合戦略に向けたロードマップなどのテーマを200点の図解で解説しており、体系的に理解を深めることができます。インサイドセールスとカスタマーサクセスの連携を視野に入れている方にも最適な本です。
『BtoBマーケティングの定石 なぜ営業とマーケは衝突するのか?』垣内勇威/日本実業出版社
このインサイドセールスにも役立つマーケティング本は、デジタルマーケティングの専門家である垣内氏が、BtoBマーケティングの課題を整理し、勝ちパターンを示す一冊です。 社内調整から始まり、人材選びや組織作り、質の良いリードや営業を生み出す方法、そして効果的なコンテンツ作りまで幅広く解説しています。著者の豊富な経験に裏付けされた独自の視点と鋭い切り口は、営業経験やマーケティング歴が浅い方はもちろん、マネージャークラスの方にも新たな発見や気付きをもたらすでしょう。
『売上が上がるフロントオフィスの設計図 営業DX・CRM/SFA・MA活用・マーケティング戦略を一気に実現させる方法』本間卓哉/クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
このインサイドセールス効率化のための本は、営業の効率化を目指す企業にとってのバイブルとも言える一冊です。非効率な営業活動や営業環境をどう改善するか、ITを駆使した『営業の仕組み化』を解説しています。特に、未だ『勘と手作業と非効率』から抜け出せない中小企業の営業活動の効率化に焦点を当てています。著者の本間氏は、IT顧問として多くの中小企業のITツール導入をサポートし、自身も経営者として活躍。営業DXの実現方法を具体的に解説し、自社事例を交えながら分かりやすく指南しています。
『営業を変えるマーケティング組織のつくりかた 〜アナログ営業からデジタルマーケティングへ変革する』上島千鶴/技術評論社
このインサイドセールスへの転換を促す本は、従来型の営業手法から脱却を目指す営業マネージャーや、マーケティング部門に配属されたばかりの担当者に向けた営業変革の指南書です。デジタルマーケティングの第一人者である上島氏は、昭和型のKKD(勘、経験、度胸)セールスからデジタルを活用したマーケティング型セールスへの変革方法を明らかにしています。デジタル時代に対応するにはどうしたらよいのか模索しているビジネスマンへ、将来のキャリア設計を考える機会としておすすめしたい一冊です。
本で学んだ知識を有効に使うには?
ここまでインサイドセールスの知識を深めるための本を多数紹介してきました。読むだけで実践に生かせなければ本末転倒です。インサイドセールスの本で学んだ知識を有効に使うためのポイントを紹介していきます。
インプットよりもアウトプットを大切にする
何事にも言えますが、覚えた内容を実践で生かさなくては身に付きません。インサイドセールスの本でインプットしたことは、すぐにアウトプットできるよう意識しましょう。また、アウトプットをする前提で本を読むと、より記憶の定着率も高まるのでおすすめです。アウトプットの場は、顧客相手ではなく、ロールプレイングや知り合いでも構いません。とにかく、得られた知識を使うという意味でインサイドセールスの本を活用するとよいでしょう。
大事な要点を繰り返し読み直す
インサイドセールスの本から学ぶといっても、ただ読み進めるだけでは意味がありません。大事な要点は人それぞれ異なるため、自分にとって必要な要点を絞っておくことが重要です。そのため、自身が必要と感じた要点を習得するまでは、いつでも読み直せるように手元に置いておきましょう。
「読む」が目的になってはいけない
インサイドセールスの勉強をする際は「読む」が目的になってはいけません。本から「学ぶ」のと「実践に生かす」という意識を持たなければ、あなたの成長にはつながりません。前述で述べた通り、アウトプットを目的としてインプットするという意識を基に入念に読み進めるという考え方が重要です。ぜひ、インサイドセールスに関する本を読んだら、自身に落とし込むところまでを一連の流れにしましょう。
まとめ
実績豊富な著者が体系的に解説している書籍は、インサイドセールスの勉強をする上で効果的な手段です。成果を上げるにはインサイドセールスのノウハウやツールだけではなく、自社に最適な組織づくりも必要です。基本的な知識から組織づくり、運用、事例が豊富に記載されているインサイドセールスの本を選び、生産性の高い営業体制を構築しましょう。そして、カスタマーサクセスとの連携を強化し、長期的な顧客関係構築に貢献するインサイドセールスを目指してください。