
インサイドセールスの平均年収はどれくらい?将来性やキャリアパスまで解説します!
インサイドセールスは近年急速に注目され始め、多くの企業がインサイドセールス部門を立ち上げたことで需要が伸びている職種です。導入企業が増えるにつれ人材の需要も高まっていますが、どんな仕事にも適性があります。インサイドセールスはやりがいのある職種である反面、クライアントとのコミュニケーションが難しいというイメージを持っている方も多いかもしれません。
本記事では、インサイドセールスの役割や仕事内容、平均年収や年収を上げる方法や条件、将来性、キャリアパスまで詳しく解説いたします。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、外出せずにオフィスや自宅で営業活動を行う仕事であり、『内勤営業』とも呼ばれます。
インサイドセールスの目的は、商談を多く獲得することであり、問い合わせがあった顧客に対し、電話やメールで連絡を取ることが主な業務となります。連絡が取れなかった顧客に対しては、マーケティング部門と連携してナーチャリングを行い、顧客リストを用いてアウトバウンド営業を行うこともあります。
また、顧客と直接接する機会が多いため、サービスに関するマーケット調査や、顧客の意見をもとにした新規サービスの立ち上げサポートを行うこともあります。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスには大きく3つの役割があります。ここではインサイドセールスの主な役割について詳しく解説します。
商談獲得:インサイドセールスは商談獲得数を目標にしていることが多いです。自社のサービスに興味を持ってくれた顧客に連絡し、なぜ興味を持ってくれたのかをヒアリングし、そしてサービスの概要を伝えることで、もっと詳しくサービスについて聞きたいと思ってもらい、商談のアポイントを取りに行きます。
インサイドセールスが商談を取らなければフィールドセールスが商談を行うことができず、商談を行うことができなければ売上が上がらないので、インサイドセールスが商談をどれくらい獲得できるかが会社の売上を左右します。それだけ重要な仕事を担っているのです。
サービスの改善点を社内に伝える:インサイドセールスは多くの顧客とコミュニケーションを取ります。
そのため、問い合わせてきた顧客と話しながら、現在の悩みやどのようなサービスを求めているのかをヒアリングしていき、自社がまだ提供していないサービスや機能があれば、それを社内に提案していくことが求められます。
提案したサービスを新しく作ることになったら専門のチームが立ち上げられ、その一員として顧客の具体的な声を伝える役割を担うこともあります。インサイドセールスは時に事業立ち上げに携わることもあるのです。
集客サポート:基本的に、集客を行うのはマーケティング担当者であり、マーケティング担当者が獲得したリードに対応するのがインサイドセールスです。
ただ、インサイドセールスは多くの顧客と話す機会があるため、最近の顧客の動向などをマーケティング担当者に伝えて、より集客しやすくなるようサポートします。
既存の顧客リストの中からどの顧客が商談後の展開率が高いのかを分析し、ナーチャリングと呼ばれる既存顧客へのアプローチを行うこともあります。
インサイドセールスのメリット・デメリット
インサイドセールスを自社に導入することでどのようなメリットが生まれるのか、懸念すべきデメリットは何かをそれぞれ把握しておきましょう。
メリット①営業効率や売上の向上
インサイドセールスでは、見込み顧客に対するさまざまなアプローチや、データドリブンな営業活動が行われます。非対面営業のため、1日あたりの商談数も増え、成約の見込みが高いリード顧客に優先的にアプローチできるため、営業効率や売上の向上が期待できます。
メリット②人材不足の解消
従来の訪問営業やテレアポには多くの人員が必要でしたが、インサイドセールスを導入すれば営業活動を効率化できます。営業に必要な人員を削減でき、1日の商談数も従来より多く行えるため、結果として人材不足の解消が見込めます。
メリット③コストの削減
インサイドセールスは、営業効率化や非対面営業といった点だけでもかなりのコスト削減が見込めます。また、事務作業や営業活動を標準化しやすいため教育コストも既存の営業手法よりかかりません。
デメリット①社内データの一元管理が必要
インサイドセールスは他部署との連携が重要になるため、各部署に散在するデータを統合、管理して運用できる体制を構築しなければなりません。そのためのツール導入や運用のための教育など、多くの初期コストがかかる点がデメリットといえます。
デメリット②既存の営業と異なるスキル
インサイドセールスには顧客データから適切な見込み顧客を見極め、成約手前の見込み顧客育成を行うなど、既存のフィールドセールスとは全く異なるスキルが求められます。そのため、初期の育成や採用に手間がかかってしまう可能性があります。
デメリット③顧客との信頼関係構築の難しさ
インサイドセールスは非対面営業が基本のため、顧客の信頼を獲得することが対面営業と比較して難しい場面があります。売上が属人化しないメリットがある反面、突出した成果を生み出す営業人材が現れにくいことはデメリットといえるかもしれません。
インサイドセールスの将来性
インサイドセールスは、カスタマーサクセスとともに将来性の高い営業職として注目されており、需要が増加しています。この背景には、新型コロナウイルス感染症拡大によって働き方が変わったこと、そして少子高齢化により働く世代が減少したことで、1人あたりの生産性を上げる必要があることが挙げられます。
リモートワークを取り入れた新しい働き方や、生産性を上げる働き方が定着し始めているため、インサイドセールスは将来性の高い仕事といえるでしょう。
営業への意識の変化
コロナ禍以降、買い手側は非訪問型営業を望むケースが増えています。HubSpot Japanが2020年に実施した調査では『非訪問型営業が好ましい』と考える人が38.5%、『訪問型営業が好ましい』と考える人が35.0%となり、非訪問型営業を好む人の割合が訪問型営業を好む人の割合を上回る結果になりました。2019年時点の調査では『非訪問型営業が好ましい』という人が21.0%、『訪問型営業が好ましい』という人が53.7%でした。
コロナ禍を経て非対面での営業方法が世間に浸透し、インサイドセールスに対する抵抗感がなくなりつつあることがわかります。
企業のインサイドセールス導入率・求人が増加
インサイドセールスの導入企業は増加しており、それに伴い求人数も増加しています。株式会社インターパークが実施した調査によると、営業職全体のテレワーク実施率は43.2%と半数近くにのぼり、自社でインサイドセールスを導入していると回答した営業職は26.1%という結果でした。
そのうちコロナウイルスが流行した2020年3月以降にインサイドセールスを導入したのは34.9%で、2020年以降にインサイドセールスの導入率は伸びています。HubSpot Japanが2021年に実施した調査でも同様の結果が出ており、間違いない業界動向といえます。
また、インサイドセールスを導入する企業が増えるにつれ、関連求人数も大幅に増加していることが明らかになっています。パーソルキャリアが実施した調査によると、インサイドセールスとカスタマーサクセスを合わせた求人数は2019年からの3年間で12倍に増加しました。
このように、企業がインサイドセールスの導入に注力し、年々求人も増えていることがわかります。
インサイドセールスの市場価値は上がっている
インサイドセールスの需要が伸びたことで、その市場価値は上昇しています。コロナ禍や働き方改革によりリモートワークが推奨される中で、非対面形式の営業方式はより現代的な手法となりました。
さらに、デジタル化が進むにつれ、非対面のコミュニケーションツールや営業管理ツールが次々に開発され、インサイドセールスを運用しやすい環境も整えられています。
インサイドセールスはマーケティングや既存のセールス、カスタマーサクセスなどとも関連性が高いため、キャリアの観点でも多くの経験を手に入れられる職種です。
インサイドセールスの平均年収
一般的に、成果を出すと収入が上がるイメージのある営業職ですが、インサイドセールスはどのように年収が決まるのでしょうか。
インサイドセールスの年収は、企業規模や経験、スキルによって大きく変動します。ここでは業種全体での年収レンジや営業経験者が転職した際の初年度の年収の期待値について解説します。
インサイドセールスの年収は、一般的に300〜700万円が相場です。特に大手企業や外資企業では年収700万円以上が見込めるケースもあります。
インサイドセールスの役割は、顧客との商談をリモートで獲得する重要な業務であり、営業成績に応じたインセンティブ制度を導入している企業も多いため、成果を出せばさらに年収を上げることが可能です。
未経験でスタートする場合、初年度の年収は300万〜450万円が一般的です。これは特に新卒や第二新卒がインサイドセールスとしてキャリアをスタートさせる場合が多いためです。
経験を積み、リーダーやマネージャーに昇進すると、年収は600万〜700万円に達します。マネジメント層に進むことで、さらなる昇給が見込めます。
営業職経験者がインサイドセールスに転職する場合、初年度の年収は前職の年収+50万円程度が一般的な提示額です。営業職での実績が認められれば、年収450万円以上でスタートできることが多く、特にB2B営業やソリューション営業の経験者は高く評価されるため、初年度から500〜600万円の年収を提示されるケースもあります。
インサイドセールスの年収を上げるには?
インサイドセールスは、オンラインでのやり取りが主流となっている現代において、比較的需要が高い仕事です。多くの企業がインサイドセールスの年収設定を高めに設定しているため、前職の経験を活かしてインサイドセールスへ転職すれば年収アップを狙うことも可能です。成果を挙げてチームリーダーやディビジョンリーダーなどに昇格すればさらに年収を上げられるでしょう。
特にインサイドセールスを導入している企業が多いSaaS業界は、給与形態に年功序列ではなく成果主義を取り入れていることも多く、実績を出すことで昇給・昇格していくことができます。
インサイドセールスの年収に影響を与える要素
フィールドセールスとして働く中で、コミュニケーションを取ることが好きな人は向いていると言えます。顧客と顔を合わせて商品やサービスを提案するため、コミュニケーションは欠かせません。
フィールドセールスは、営業活動をフェーズ毎に分けた際に、唯一対面で顧客と会える仕事です。また、インサイドセールスはアポイントを獲得する際に顧客と話す時間は短時間で、かつ1度きりのケースが多いです。一方、フィールドセールスは1時間程度の商談を契約が取れるまで複数回行います。そのため、対面で人と話す事が好きな方は、フィールドセールスが向いているでしょう。
①経験年数
未経験者:未経験者の初年度年収は、300万〜450万円が一般的です。経験の浅いインサイドセールスは、まずはリード獲得や商談の創出を担うポジションからスタートし、成果に応じて年収が上がります。
経験者:営業職やSaaS業界での経験が増えるにつれて、年収も着実にアップします。具体的には、3〜5年の経験を積むことで、500万〜700万円程度の年収に到達するケースが多いです。さらに、5年以上の経験を持つシニアセールスは、600万〜800万円まで年収が上昇することが一般的です。
②企業規模
大手企業:大手企業では、年収が高い傾向があります。基本給が比較的高く、インセンティブ制度も充実しているため、年収600万〜700万円以上を狙うことが可能です。また、企業が提供する研修やツールの充実度も影響し、成果を上げやすい環境が整っています。
中小企業:中小企業では基本給は大手に比べてやや低い傾向があり、400万円前後が多いですが、大手企業以上のインセンティブを得られる場合もあります。また、成長段階の企業では、インサイドセールスがより自由度の高い戦略を実行でき、スピーディーなキャリアアップも見込めます。
③勤務地
リモートワークの普及により、勤務地によるインサイドセールスの年収差は縮小しつつありますが、依然としていくつかの要因が影響を与えます。
地域による年収差:東京と大阪などの都市部では、平均年収が500万〜600万円に達することが多いです。一方地方でもリモートワークの普及により、年収400万〜500万円の求人が増加しました。
外資系SaaS企業では、海外からリモートで勤務しても高い年収水準を維持できます。リモートでも年収800万〜1,000万円以上を目指せる環境が整っています。
リモートツールによる成果向上:ZoomやCRMツールを使ってリモート商談を行うことで、成果に直結する営業活動が可能となりました。リモート環境でも商談数や成約数が減ることなく、年収に影響を与えません。通勤時間の削減により、より多くの時間を営業活動に使えるため、パフォーマンスが向上し、インセンティブも獲得しやすくなります。
リモートワークの普及により、成果主義が重視されるSaaSインサイドセールスでは、勤務地に関係なく高年収が実現可能となりました。都市部と地方の年収差は縮小し、リモートワークでも十分に稼ぐことができる環境が整ったといえるでしょう。
インサイドセールスのキャリアパス
インサイドセールスは他の営業職と比較して、キャリアパスの選択肢が豊富です。習得できる知識・経験・スキルの幅が広く、汎用的であるため、他の職種・業界でも活用できるためです。
マネージャー・リーダーへ昇格
最もポピュラーなのは、インサイドセールスとして成果をあげ、チームリーダーや部門リーダー、マネージャーへの昇格を目指すというキャリアです。
企業によって違いはありますが、サービスごとにインサイドセールスのチームを分けたり、同じサービスであっても4〜5人ほどのチームに分けていることがあります。まずは自身の成果を上げることでそのチームのリーダーに昇格でき、その後チームリーダーとしても成果をあげられると、マネージャーなどに昇格できます。
役職が上がると、成果がなかなか出ないメンバーの育成を行ったり、仕事の効率化を考えたり、商談が獲得できそうなセグメントを見つけてリストの作成をしたりなど、メンバーとして働いていた時とは違う仕事も出てくるでしょう。昇格すると新たな業務が増えますが、責任の範囲も増えるため、年収も上がります。
会社規模にもよりますが、マネージャーやリーダーに昇格することで、年収1,000万円を目指すことも可能なので、インサイドセールスの平均年収を大幅に上回ることもできます。
マネージャー・リーダーへの昇格を目指す方は、営業スキルを磨くだけでなく、部下の育成やチームマネジメントも意識しておくとよいでしょう。
他職種へのキャリアチェンジ
インサイドセールスが獲得した商談は、フィールドセールスによって売上が作られ、その後カスタマーサクセスにより継続顧客になっていきます。業務範囲や必要な知識が被るため、インサイドセールスで身につけた知識・経験を活かし、フィールドセールスやカスタマーサクセスなど他職種へのキャリアチェンジをすることも選択肢となります。
フィールドセールス:フィールドセールスは、顧客と対面で商談を行い、最終的な成約を担当するポジションです。契約額が大きく、インセンティブも高額になるため、平均年収も高くなります。特に外資系IT企業では、インサイドセールスからフィールドセールスへのキャリアチェンジが一般的で、高額なインセンティブによる給与アップも期待できます。
カスタマーサクセス:カスタマーサクセスは、商品・サービスに関する情報を発信したり、不明点や困りごとのサポートを行い、既存顧客の満足度向上や既存顧客維持率アップを目指す職種です。
長期的に顧客と関わり続けるポジションのため、安定した収入と高いインセンティブが期待できます。カスタマーサクセスでの平均年収は600万〜800万円程度です。
マーケティング:マーケティングは、コンテンツの企画やメディア運用で潜在顧客を獲得する役割を担います。マーケティング分野では、自社商品・サービスへの興味をさまざまな施策で喚起し、ユーザーの潜在ニーズを顕在化させることが重要です。インサイドセールスで培われた、ユーザーニーズを深掘りして喚起するスキルが役立ちます。
プロダクトマネジメント:SaaS製品の深い理解と市場ニーズに基づく戦略を立案できる人材として、プロダクトマネージャーも魅力的なキャリアパスです。プロダクト戦略を担うこの役職では、年収700万〜1,000万円以上を目指すことが可能です。
インサイドセールスコンサルタント:業務経験を活かして、他企業の営業プロセスを改善するインサイドセールスコンサルタントというキャリアパスもあります。この職種では、顧客企業に対する提案やコンサルティング業務がメインとなり、年収は600万〜900万円が期待できます。
営業プロセスのオペレーションや戦略策定:営業オペレーションや営業戦略の専門家として活躍する道もあります。インサイドセールスチームの効率化やプロセスの最適化を担当することで、企業全体の営業成績向上に貢献します。年収は500万〜800万円が一般的です。
どのキャリアを選んだとしても、まずインサイドセールスとして成果をあげていることが大前提です。部署異動の希望は企業によって伝えやすさが異なるため、積極的に相談することが大切です。
まとめ
ここまで、インサイドセールスの将来性や市場価値について解説しました。インサイドセールスの業務では見込み顧客だけでなく、マーケティングやフィールドセールスなどさまざまな人と関わりながら仕事をするため、身につくスキルや経験もさまざまです。営業活動を効率化するインサイドセールスは、今後ますます重要性が高まるため、インサイドセールスのスキルを磨くことには大きな意味があるでしょう。