
フィールドセールスのキャリアパスとは?身に付くスキルやキャリアアップの方法など転職に役立つ情報をお届けします!
新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり営業のスタイルは多様化しました。非対面での営業活動が増え、注目されているのがフィールドセールスのあり方です。市場価値が高いと言われることも多いフィールドセールスですが、実際どのような業務を担当しているのでしょうか。本記事ではフィールドセールスに求められるスキルや、そのやりがい、キャリアパスを解説します。
フィールドセールスに求められるスキルとは
まず、フィールドセールスが営業をする上で身につけるべきスキルについて解説します。
コミュニケーションスキル
フィールドセールスとして成果を上げるためには、顧客との信頼関係を構築することがポイントです。コミュニケーション能力は必要不可欠であり、顧客と会話をして製品の魅力を伝えることはもちろん、顧客のニーズを引き出すトーク力や聞く力も求められます。また、相手が興味のありそうな内容を的確に察知して話題を投げかけるなど、その場の雰囲気を読んでトークの内容やアプローチの方法を臨機応変に変える柔軟性も必要です。
信頼関係構築力
信頼関係構築力とは、相手の気持ちや立場、状況を理解するために心を開いて歩み寄るスキルのことで、コミュニケーション能力の一つです。
フィールドセールスは、顧客の思いを尊重して理解することが求められます。自分の意見や製品の良さをアピールするだけでは、どんなに魅力的な製品やサービスであったとしても顧客の気持ちはどんどん離れてしまうので注意しなければなりません。顧客とのコミュニケーションを重ねていくうちに自然と身に付くスキルではありますが、聞く姿勢に徹することでより効率良く習得できます。
プレゼンテーション力・提案力
どんなに魅力的な製品やサービスであったとしても、営業力がなければ受注を獲得できません。継続して利用してもらうためにも、顧客の抱える課題や問題をしっかりと把握して長期的な視点に立った提案ができるかどうかが重要なポイントです。
自社の製品やサービスを利用することでどのようなメリットがあるのかを具体的にイメージしてもらうためにも、製品の魅力を伝えられるプレゼンテーション力や提案力が求められます。
マーケティング能力
製品やサービスを販売する際は、その商材を必要とするターゲット層に対して的確にアプローチすることが重要です。そこで最適なマーケットを見つけ出す『マーケティング力』が求められます。
マーケティングとは非常に広い意味を持つ言葉であり、要約すると『製品が売れる仕組みを作る業務』のことです。そのため、営業活動と共通する点が多い分野と考えてください。営業担当者が身につけるべきマーケティングスキルとして、企画力や情報収集力、データ分析力や提案資料の作成スキルなどが挙げられます。
行動力・決断力
フィールドセールスは、営業担当者の行動力次第で売り上げを向上させ、成果を出せる職種です。そのため、顧客の状況をしっかりと理解して相手の立場に立った提案をするなど、顧客ファーストに動く『行動力』が求められます。
顧客に自らアポイントメントを取ったり、顧客への理解を深めるためにリサーチをしたりするなど、自発的に行動できる人が向いています。その他にも、マニュアルや形式にこだわることなく、スピード感を持って商談を進めていく『決断力』も大切です。状況に応じて対応を柔軟に変え、必要なタイミングで適切な決断を下せる人は、フィールドセールスの分野で多いに活躍できるでしょう。
ITリテラシー
フィールドセールスの業務では、企業が蓄積してきた顧客のデータを頻繁に取り扱います。自身の商談案件の進捗管理をするときや、インサイドセールスから潜在顧客の情報を渡されるとき、カスタマーサクセスに案件を引き渡すときなど、大抵は顧客情報管理のためCRM、MA、SFAといったITツールを使用しているので、それらのITツールに慣れておくとよいでしょう。
顧客からヒアリングした情報を、CRMやMA、SFAなどで記録や管理、報告できるスキルやその経験があると転職で有利になります。また、プレゼンテーションなどで頻繁に必要になるPC操作スキルや、社内連絡などで使用するチャットやメールなどでのコミュニケーションツールの利用経験があるとよいでしょう。
フィールドセールスのやりがい
自社サービスを利用してもらうことで、顧客に事業に貢献できることがフィールドセールスのやりがいです。
フィールドセールスの仕事は、顧客の成約を獲得し、自社の売り上げを最大化することで、そのためには顧客との関係構築が重要となります。目先の利益だけを見ていては顧客は製品に心惹かれず、購入には至りません。顧客にとってのメリットや価値が何かを知り、顧客にとって自身が魅力的な相手であることを示すためにも、顧客のことを知り尽くす必要があります。
そのために、顧客の情報を得て業界知識を学び、得た知識や知見を時間をかけて顧客に伝えましょう。継続的なコミュニケーションで顧客と心を通わせることで獲得する契約はフィールドセールスに達成感を与え、やりがいにもつながります。また、繰り返しのコミュニケーションを通して自社サービスの魅力を他の企業にも伝えられるようにもなります。サービスを通じて顧客へ貢献し、提供する側も価値を感じられるのは、フィールドセールスならではのやりがいだといえます。
フィールドセールスに向いている人
職種への適性は個人が持つ性格や素質による場合もあります。フィールドセールスについても向き不向きが存在します。ここでは、フィールドセールスに適性を持つ人材の特徴を紹介します。
顧客志向な人
顧客のことを第一に考えて素早く行動をできる、そういった顧客志向を持つ人はフィールドセールスで大いに活躍できます。
フィールドセールスの成果を最大化するためには、顧客の状況を理解し、顧客の立場に立った提案が必要です。そのためには、利己的な考えではなく『相手のメリットは何か、相手に何をすると喜ぶのか』を考えた顧客第一主義のマインドで行動することが大切です。相手のことを考えられるほど顧客に興味を持てるか否かというのがフィールドセールスの要素になってくるかもしれません。
主体性のある人
業界知識を得るために本を読む、顧客に連絡して信頼関係を得るといった自発的な行動が成果につながるため、主体性を持って行動できる人が向いています。また、営業職にはスピーディーな決断も求められます。判断を明日に持ち越すと競合他社に顧客を奪い取られてしまう可能性もあるからです。判断力を備えている人は、確実に受注につなげる力も高く、フィールドセールスとしても活躍できる傾向にあります
仕事に対し、真面目で丁寧な人
フィールドセールスは業務を丁寧に進められる人に向いています。顧客との信頼関係を築くことが重要な職種なので、『小まめに連絡をとる』『約束したことを納期通り実行する』といった行動を通して信頼を得ることが重要です。真面目で物事を丁寧に進められる人は顧客に安心感を与え、信頼関係を築き上げることができ、結果的に成果もついてくることでしょう。
しかし反対に、『音信不通が続く』『やると言ったことが放置される』といった不誠実な対応が続くと、顧客からの信頼は落ち、受注につながることはありません。信頼関係を築く上で重要な真面目さや丁寧さは基盤となる素質といえます。
論理的思考力がある人
フィールドセールスは、製品を説明するだけでなく、顧客の状況をしっかり理解しそれに合わせた解決策を提案することが大切です。
これを実現するためには、情報をきちんと整理して理論的に説明をする論理的思考力が求められます。論理的思考力が不足していると、伝える情報が不完全になったり説明が支離滅裂になったりして、顧客が提案に疑問を感じることになるでしょう。分かりやすい説明をするための論理的思考力は、フィールドセールスの基本的なスキルとして欠かせません。
分析能力がある人
フィールドセールスの仕事をする上でデータ分析のような高度なスキルは必要ありませんが、物事の本質を見極める『分析力』は必須です。
顧客の言動や表情、市場動向などの情報を分析し、顧客が抱えている潜在的なニーズや課題を正確に把握する必要があります。クレームが発生した際も、原因を表面的な問題にとどめず、深掘りして分析することが重要です。なぜその問題が発生したのか、背景にはどのような要因があるのかを突き止めることで、根本的な解決策を導き出せます。
また、分析力に加え、迅速な対応力も求められます。市場環境や顧客のニーズは常に変化するため、素早く状況を分析して適切な対応を取ることが重要です。分析結果に基づき、迅速に改善策に取り組むことで、顧客満足度の向上やクレームの防止につながります。
フィールドセールスへの転職・キャリアパス
フィールドセールスへの転職
フィールドセールスへの転職は、法人営業が業界を変えてジョブチェンジをするのが主流です。転職希望者は業界を変えることで扱う商材を変え、営業の幅を広げたいと希望する傾向にあります。
一方、コロナ禍がきっかけにオンラインで商談を進める営業スタイルの重要性も認識されました。『非対面でクロージングまで進める営業スタイルは可能』という実例がたくさん生まれました。多くの企業がコロナ禍と比較して非対面営業に対する抵抗が少なくなりました。今後は各企業で、『オンライン上のみでクロージングまでできる営業』の数を増やしていくと思われます。
オンライン会議システムを使用した営業スタイルは、インサイドセールスが得意とする営業手法です。需要の高まりとともに、転職市場ではインサイドセールスの経験者数が増加しています。インサイドセールスからフィールドセールスへの転職は、今後ますます増えていくと予想されています。
フィールドセールスのキャリアパス
フィールドセールスのキャリアパスは、企業や個人のスキル、経験によって大きく異なりますが、一般的には以下のようなキャリアパスが考えられます。
フィールドセールスマネージャー:フィールドセールスとして、多岐にわたる業界での経験を積んだ後、フィールドセールスマネージャーや営業部長など、営業部門の管理職へ昇進するというキャリアパスがあります。
今までは個人やチームで結果を出すことに注力してきたのが、組織全体での成果を図るためにはどうすべきかを考えて執行する立場へと変わります。営業経験があるからこそ打ち出せる実行プランもあることでしょう。このキャリアパスは一般的な道筋であり、組織においてキャリアを伸ばしていく方法になります。
アカウントエグゼクティブ:アカウントエグゼクティブとは、フィールドセールスの中でも大口顧客を担当する営業担当者です。大口を担当するということは、責任のある数字も大きくなり、所属する会社に多大な貢献する可能性を秘めているともいえます。成果が出た場合の評価も大きく、営業の中でも花形として扱われていることも多いでしょう。
営業企画担当者:営業戦略の立案や、営業の教育、コンテンツ作成などを担います。企業によってその役割は大きく異なります。
営業コンサルタント:成果を上げたフィールドセールスによっては、営業コンサルタントにキャリアアップする場合もあります。営業戦略の立案や実行、営業手法の改善、営業人材の育成など、支援範囲はさまざまです。顧客の営業活動を深く理解し、それに応じた支援をする必要があるため、高いスキルと経験が求められます。
カスタマーサクセス:営業の道を離れ、カスタマーサクセスへと挑戦することも可能です。フィールドセールスが受注した後の工程である、顧客が自社サービスを使えるように、または生かせるようになるために、顧客と伴走する立場であるカスタマーサクセスへ転身したいという人もいます。
フリーランス:営業のプロとしてフリーランスに転身するというキャリアパスもあります。フィールドセールスの経験を積み重ね、さまざまな業界知識や営業スキルを身に付けられれば、もはや組織に属している必要はなくなるかもしれません。コネクションを拡大した後に独立し、商材関係なく何でも売れるフリーランスの営業職として活躍していくことも可能でしょう。
フィールドセールスへ転職するには営業経験が必要?それとも未経験でも可?
従来の営業スタイルである外勤営業では、営業未経験者からの転職が数多く見られます。
転職前の職種はホールスタッフやCA、事務職などさまざまです。転職先の業界にもよりますが、未経験者が転職しやすい職種の一つといえるでしょう。しかし、ファネル型のフィールドセールスへの転職では、最低でも1年以上の法人営業経験を必須とする求人がほとんどです。企業にもよりますが、年収が高いほど法人営業経験が3年以上は必須など、採用基準のハードルが上がります。とはいえ、ファネル型のフィールドセールスを採用している企業の多くはIT企業です。IT企業では法人営業未経験者をフィールドセールスとして採用しない傾向にあります。
一方、未経験からフィールドセールスへ転職することで、以下のようなメリットもあります。
新しいキャリアチャレンジ:新しい分野で自己成長を図る機会が得られます。
インセンティブと報酬:フィールドセールスは成果に応じて報酬が得られることが多く、収入アップのチャンスがあります。
顧客との関係構築:顧客との直接的なコミュニケーションを通じて、信頼関係を築くことができます。
未経験から転職を成功させるには?
求められる営業経験を満たせばフィールドセールスに転職するのは難しいことではありません。ただ、営業未経験からフィールドセールスを目指す場合、難易度が上がります。ここでは未経験からフィールドセールスを目指す方法を解説します。
志望理由を明確にする:興味や意欲のレベルにとどまらず、『その仕事をどうしてもやりたい』という熱意をアピールしましょう。企業側も熱意を重視していますし、熱意があれば入社後もモチベーションを維持したまま働くことが可能です。注意してほしいのは、熱意だけをアピールするだけでは、志望理由として弱いという点です。説得力が出るよう、前職で培ったスキルや経験をどう生かしていくのかも盛り込んでアピールしていきましょう。
自分の興味がある業界を選ぶ:自分が興味ある分野やチャレンジしてみたい分野なら、当然業界知識や製品知識を深めることも容易でしょうし、製品への興味も一層湧くことで意欲を持って働き続けられます。人材業界やIT業界、広告業界などフィールドセールスを頻繁に募集している業界で、顧客のニーズに合わせた提案ができるよう準備しましょう。
信頼できる人材であることをアピール:提案力やコミュニケーション力、ヒアリング力、課題解決能力など、営業にはさまざまなスキルが求められますが、中でも大切なのは、顧客から信頼してもらえる人間力です。特にフィールドセールスの場合、顧客との一度の対面機会で購入、契約を検討してもらえる人間力が求められるからです。顧客の課題を解決する最も有効な対策を提示するだけでなく、クロージングのために顧客に安心感を与えることはとても重要です。
基本的なセールススキルの習得:フィールドセールスには基本的なセールススキルが必要です。営業テクニックや提案の方法、交渉スキルなどを学びましょう。
コミュニケーション能力の向上:フィールドセールスは顧客との対面コミュニケーションが鍵となります。コミュニケーション能力を培い、顧客との信頼関係を築けるよう努力しましょう。
ネットワークの構築と情報収集:業界内での人脈を広げ、情報収集力を高めることで競争力を向上させられます。セールスにおいて有益な情報を得るための努力が大切です。
フィールドセールスへ転職するために有利になる経験とは?
フィールドセールスは、すでに営業経験がある方にとってはキャリアを生かせるフィールドです。特に以下のような営業職の経験がある人には親和性が高く、すぐに活躍できる可能性があります。
法人営業(BtoB営業)経験者
法人営業経験者は、特に親和性が高いといえます。フィールドセールスも基本的には企業向けの営業(BtoB)なので、これまでの法人顧客との関係構築スキルや、複雑な商材の提案力がそのまま生かせます。また、長期的な顧客フォローを得意とする法人営業経験者はスムーズに適応できるでしょう。
ソリューション営業経験者
ソリューション営業は、顧客の課題解決を目的とした提案営業をしてきた方々です。このスタイルはフィールドセールスと非常に相性が良く、顧客のニーズに応じた最適なソリューションを提案する力を持っています。特に、複雑な製品を顧客に合わせてカスタマイズして提案できるスキルが強みになります。
IT・テクノロジー業界の営業経験者
製品によっては技術的な知識が必要とされるため、IT・テクノロジー業界での営業経験者は大きなアドバンテージを持っています。すでにIT製品やクラウドサービスに関する知識があるため、仕組みを理解するのも早く、顧客の技術的な質問にも自信を持って回答できるでしょう。
インサイドセールス経験者
インサイドセールス経験者も、フィールドセールスへの適応力が高い傾向があります。リード獲得や顧客とのオンラインでのやり取りに慣れているため、リモートでの商談やヒアリング力が武器になります。フィールドセールスは顧客訪問もしますが、オンラインでのコミュニケーションスキルは非常に重要です。
まとめ
フィールドセールスは、製品やサービスの受注を獲得するための最後のプロセスを担う重要なポジションです。フィールドセールスに取り組むメリットとして、製品の魅力をより伝えられること、顧客との信頼関係が築きやすいこと、状況に応じて柔軟に対応できることが挙げられます。新型コロナウイルスの影響もあって対面での営業機会が減った中、限られたチャンスを確実に獲得するためにも、フィールドセールスにはコミュニケーション力やプレゼンテーション力、提案力、行動力、決断力などが求められます。
フィールドセールスに転職するために必須の条件はありませんが、経験や能力が問われる職種です。未経験からフィールドセールスへの転職はチャレンジングですが、基本的なスキルの習得や業界知識の向上、コミュニケーション力の向上など、具体的なステップを踏むことで成功の可能性を高められます。