営業職の将来性は?5つのキャリアプランとキャリアの築き方を解説

キャリアプランとは、『今後の人生でどのような仕事をしていきたいか』という中長期の計画のことを指します。

例えば、5年後に独立して起業をするという目標を掲げた場合、それを実現するために必要な短期・中期の目標を逆算して設定し、より具体的なキャリアの計画を立てます。キャリアプランがあることで、将来のために今やるべき事が明確になるため、これからの人生で自分が理想とする働き方を実現するための手助けになるでしょう。

本記事では、営業職における5つのキャリアプランとキャリアの築き方について、ご紹介します。

営業職の5つキャリアプラン

営業の仕事は企業や事業内容によって様々で、キャリアのパターンは多岐にわたります。営業で培ったスキルや経験を活かして、今後どのようなキャリアアップができるのでしょうか。

まず、キャリアプランと『キャリアパス』『キャリアビジョン』の違いを明らかにし、その次に営業職で挙げられる5つのキャリアプランについて解説します。

『キャリアパス』『キャリアビジョン』との違い

キャリアパスは、企業内で社員が目標とするポジションや職務を実現するための道筋を作ることです。キャリアプランは転職や独立などを含む人生計画である一方で、キャリアパスは在籍している企業内でキャリア経験を積むための道標、という違いがあります。

キャリアビジョンは、人生や仕事において将来自分がなりたい理想像を意味します。キャリアプランは具体的な計画を指す反面、キャリアビジョンは非常に抽象的な考え方のため、自分の価値観や考え方を元に、将来こうなっていたらいいなくらいのイメージを持つと良いでしょう

スペシャリスト

スペシャリストとは、『何か特定の分野に関する高い専門性を持つ人材』のことを指します。例えば、エンジニアのような技術者や、研究者、弁護士、会計士などは特定の領域の専門的な能力が求められます。広範囲な知識を求められるゼネラリストに比べてより深い知識や能力を保有している点が特徴です。

スペシャリストとしてキャリアを形成する場合は、特定の領域の知識を深めることが重要です。また、専門性を高めるだけでなく、その領域の市場動向やトレンドなどの最新情報を把握しておくことも、スペシャリストに求められる欠かせない要素です。さらに、自身の専門性に影響を及ぼす、他の業界やその市場動向に関する情報も手に入れておくと良いでしょう。

スペシャリストとして活躍する営業は、こだわりを持っている人や気になることを突き詰めてつい時間を忘れてしまうような人が多い傾向にあります。自分が担当する領域に関して人一倍興味があり、学び続けることが楽しいと思える人は、今後スペシャリストのキャリアを考えてみても良いかもしれません。

マネジメント

マネジメントとは、『メンバーの能力を最大限に発揮させ目標を達成に導くこと』で、いわゆる『マネージャー』や『管理職』と呼ばれるポジションを指します。

マネジメントを通して、メンバーの成長を促し目標達成までのプロセスを後押しすることで、組織パフォーマンスを向上させることが求められます。メンバーとは異なり、マネージャーは自分が『売る』のではなく、メンバーに『売らせる』ことが仕事です。そのため、チームのメンバーの進捗管理や目標設定、それに対するフィードバックなどで、チーム全体の目標達成に向けて責任を持ちます。さらに、個々人のスキルアップに向けた育成やモチベーション管理など、売上や数値目標以外のマネジメントスキルも求められます。

営業職のマネージャーを目指す場合は、まずは自分自身が営業として多くの知見や経験を得ておく必要があります。マネジメントスキルに長けていたとしても、営業の経験が乏しく現場の状況を理解できなければ、結果的に良いマネジメントはできません。さらに、マネージャーは組織全体を把握して客観的に分析する観察力や課題発見力、組織全体を動かすための推進力や決断力を高めることが重要です。

総務・企画

営業職のキャリアチェンジでは、営業で培ったコミュニケーション能力や調整力などを活かして、『総務』や『企画職』に職種を変えることも可能です。

総務は、企業を経営する上で必要な仕事を幅広く担当しています。具体的な業務内容としては、社内イベントや株主総会の運営、郵便物や備品の管理、社内規定の作成、オフィス環境整備などが挙げられます。

総務の業務内容は多岐に渡り、同時並行で複数の物事をこなす必要があるため、事務処理能力やPCスキル、スケジュール管理能力が求められます。さらに、社内の人だけでなく社外の顧客ともやり取りが発生するため、コミュニケーション能力や調整力が求められる職種でもあります。また、企業によっては労務や経理などを兼任する場合もあるため、必須ではありませんが社会保険労務士や簿記の資格を取得しておくと良いでしょう。

企画職は、担当領域に関する課題解決を目指し、市場や競合の調査データなどからアイデアを企画立案し実行する役割を担っており、業界や企業によって業務内容は様々です。企画職の代表的な例には、商品企画や販売促進、広報・PR、営業企画などが挙げられます。

企画職のいずれの業務の場合でも、市場動向や顧客ニーズを常に把握して分析し、企画立案と実行を繰り返すことでPDCAサイクルを回す必要があります。そのため、物事の本質を捉える分析力や情報収集能力、それを元にアイデアを形にする発想力や提案力が求められます。また、企画職は社外関係者や顧客だけでなく、社内関係者の声も拾いながら分析や企画を練ることも多いため、営業の周りの関係者を巻き込む力やコミュニケーション能力は、役立つスキルになるでしょう。

他業界の営業

営業職として他業界に転職する場合、営業経験を活かして即戦力として活躍できます。

近年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響やSaaS(※)の増加により、『インサイドセールス』や『カスタマーサクセス』など、サブスクリプションサービスの提供に適した営業職の需要が高まっています。それにより、従来の訪問や対面を基本とするフィールドセールスから、キャリアチェンジする人が増えています。

(※SaaSとはSoftware as a Serviceの略であり、クラウドサービスとして提供されるソフトウェアのことを指します)

他業界に転職する際は、その業界や市場の成長率、今後の展望をしっかり把握しておくようにしましょう。企業やポジションなどによって異なるため一概には言えませんが、成長が停滞している業界よりも伸び盛りの業界の方が売上が安定しており、キャッシュリッチであれば企業として新しいチャレンジがしやすく、社員にも成長のチャンスが与えられます。

業界が変わったとしても、営業職として仕事をするのであれば、求められるスキルは大きく変わりません。営業で培ったコミュニケーション能力や課題解決力は、他業界でも必ず活きるスキルになるでしょう。ただし、業界や市場動向、顧客ニーズなどを新たに学ぶ必要があるので注意しましょう。

フリーランス・起業

営業職で独立する場合、契約先企業の営業活動を代行する『営業代行』や、企業を代理して製品を販売する『販売代理店』という働き方が挙げられます。他にも、営業に関するコンサルタントやアドバイザーとして企業の支援をしたり、講師として営業職の人材育成をしたりする道もあります。

独立をするメリットとして、売る商材を自分で選べたり時間の拘束がなく自由に営業ができたりすることが挙げられます。一方デメリットとしては、独立すると全ての営業成果が自己責任になるため、案件獲得に苦労したり収入が不安定になったりする可能性があります。

営業職としての経験が浅い状態で独立してしまうと、自分の仕事ぶりや仕事の功績をアピールできないため、クライアントから評価してもらえず継続して案件を獲得することは難しいでしょう。そのため、まずは企業で社員として働いてある程度の営業経験を積み、スキルやノウハウを身につけておくことが重要です。

営業職のキャリアの築き方

営業職には様々なキャリアがありますが、実際に自分に合ったキャリアプランはどのようにして作れば良いのでしょうか。

ここでは、営業職のキャリアプランの立て方について解説します。

キャリアプランの考え方

前提として、キャリアプランは人によって様々な考え方があり、状況に応じて変化することも想定されるため、特にこれといった正解やゴールは存在しません。よって、周囲の意見や風潮に流されず、自分の価値観や経験をもとに最適なキャリアを判断し、自分自身が納得できる選択をし続けることが重要です。

また、キャリアに対する価値観や考え方の変化、結婚や出産などのライフイベントなどの影響でキャリアプランが変わる可能性は十分に考えられます。前述のとおりキャリアプランには正解やゴールが存在しないため、その時の考え方やライフステージに応じて、自分が最も納得できる選択ができるよう、柔軟に軌道修正やアップデートをすると良いでしょう。

キャリアプランの作り方

次に、キャリアプランの作り方を3つのプロセスに分けて紹介します。

①なりたい姿を明確にする

まずは、自分が将来なりたい姿やあるべき姿を明確にしましょう。例えば、『35歳までにマネージャーになる』『28歳までに独立して起業する』など、いつどんなスキルを持っていてどんな姿になっているのかをイメージします。

その際に重要なのは、イメージを現状のキャリアの延長線上に限定しすぎないことです。キャリアの選択肢や自分の可能性を狭めてしまわないためにも、現時点のキャリアは一旦度外視してフラットに将来の理想像を考えるようにしましょう。また、イメージするだけでなく将来像をより具体的にするために、自身の考えを言語化することも重要なポイントです。

②現状の自分を知る

具体的に将来なりたい姿を描けましたら、次は現状の自分を知るために過去の経験や知識、能力などを棚卸して自身を客観的に分析しましょう。自分の強みや弱みを理解することで、将来の目標達成に向けた具体的なアクションプランが立てやすくなります。特に、自分の短所や目標達成する上で足らない要素をしっかりと受け止め、理想と現状のギャップに向き合いましょう。

さらに、自分を知るためには、現時点の知識や能力だけではなく自分の価値観や考え方を知ることも重要です。自己分析を進める中で、『自分の喜びやモチベーションの源泉となるものは何か』『自分の根幹にある譲れない価値観は何か』を整理すると良いでしょう。

③ギャップを埋めるための計画を立てる

最後は、①と②を元に理想と現状のギャップを整理し、その乖離を埋めるために必要なアクションプランを立てましょう。その際、なんとなくの思いつきでアクションを決めてしまわず、自分の性格や費用・時間などのコストを鑑みたうえで、最もマッチする実現可能性の高いプランを練ることが重要です。

営業職でプラン通りのキャリアを築く方法

プラン通りにキャリア形成するのは容易なことではありませんが、その方法や手段を知っておくことは、理想のキャリアに近づくためのヒントになります。

ここでは、営業職でプラン通りのキャリアを築く方法について、解説します。

出世・異動の方法

企業で出世するためには、自分の評価者である上司や社内外問わず、周囲の人から高く評価される必要があります。評価が高い人の特徴としては、売上や目標達成率などの定量面で高い成果を出していることが挙げられます。また、対人折衝力やコミュニケーション能力、人間性などの定性面の信頼を得ることも重要なポイントです。どれだけ成果を出したとしても、関係者からのクレームが多かったり思いやりのない言動が目立ったりすると、周りからの信頼を失ってしまい出世することは難しいでしょう。

また、企業の中で別の部署への異動や別職種へのキャリアチェンジをする場合も同様で、現部署でしっかり成果を出して信頼を獲得しておくことが重要です。また、上司や人事担当者などに日頃からキャリアプランや異動希望について話しておくことで、異動の話が出た時の候補者に入りやすくなるため、実現可能性が高くなります。異動先で必要とされるスキルやノウハウなどを学び専門性を高めておくことも、意欲の高さをアピールする1つの方法です。

転職の方法

転職では内定までに必要なステップは大きく3つに分けられます。

まずは、転職活動に向けた準備が必要です。現職の状況を鑑みて、転職活動期間や退職時期などある程度スケジュールを決めておくようにしましょう。また、自己分析の結果を元に、希望する業界や職種、業務内容などの情報を整理しておくとスムーズに活動を進められます。さらに、求人応募に必要な履歴書と職務経歴書の2点を作成する必要があります。採用担当者の目線に立ち、読みやすさや分かりやすさを意識しましょう。

準備が完了しましたら、希望する求人にエントリーしましょう。その際、自分が気になる企業のホームページから直接応募することも可能ですが、求人媒体やスカウト媒体などに登録をして、希望条件に合う求人を効率的に見つけると良いでしょう。

求人エントリーが完了しましたら、いよいよ面接です。志望動機や退職理由など、面接で想定される質問に対して答えられるよう、事前に対策しておく必要があります。エージェントサービスに登録して求人を紹介してもらった場合は、専任アドバイザーが企業別に面接対策をしてくれることが多いので、プロの手を有効活用すると良いでしょう。

独立・起業の方法

独立や起業をするためには、まずは何の仕事で独立や起業をするのか決める必要があります。自己分析を通して、活かせそうな知識やスキル、やりたいことなどを整理しておきましょう。その際、将来関わる市場や競合調査などのデータを元に、その仕事が上手くいくかどうかを客観的に判断することが重要です。

次に、独立に必要な開業資金の準備や成功するための収支計画など、緻密なプランを立てましょう。独立した場合、お金の動きを全て自分で把握しておく必要があるため、会計の知識をつけておくと良いでしょう。また、サラリーマン時代とは異なり、個人事業主や経営者としてビジネスを成功させるには『投資』という考え方を持つ必要があります。支出を抑えることはもちろん大事ですが、仕事に必要なPCやデスクなどの設備投資や、勉強会や交流会などの自己投資などは、積極的にしましょう。

また、独立する時期をある程度決めておくことも重要なポイントです。ある程度目安をつけておくことで独立までの計画が立てやすく、しっかり準備に時間を使えます。また、いざ独立しようとしても、周囲から反対されてしまうケースも考えられるため、家族や友人などの理解と協力を得ておくとスムーズに独立できるでしょう。

まとめ

営業職には様々なキャリアがあり、自分次第でキャリアの選択肢の幅を広げられます。まずは、一度立ち止まって自分と向き合い、将来なりたい姿や現状を把握することで、より納得できるキャリアを切り拓けるのではないでしょうか。

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