営業職に必要とされる6つのスキルを徹底解説!

営業職は、自社の製品やサービスを通して顧客の課題解決やニーズに応えることで、企業全体の売上を創出する仕事です。顧客と最も近い距離で接点を持ち、企業の売上に直結する役割を担っていることから、営業職はビジネスにおいて欠かすことのできない重要な存在と言えます。

営業職には、個人営業や法人営業のような顧客別に分かれたもの、新規営業や既存営業のような目的別に分かれたもの、フィールドセールスやインサイドセールスのような手段別に分かれたものなど複数の種類があります。業務内容に関しても、会社や事業内容、サービス内容によって携わる領域は様々です。

では、営業職にはどのようなスキルが求められるのでしょうか。この記事では、営業職の仕事内容と、営業職に必要とされる6つのスキルについて解説します。

営業職の業務内容

『営業』と聞くと、自社の製品やサービスの売り込みをイメージする人が多いかもしれません。しかし、営業職には他にも様々な業務が存在します。

ここでは、営業職の主な業務内容について説明します。

新規顧客の開拓

新規顧客開拓とは、まだ取引のない企業や個人に対して、アプローチをすることを指します。サービスを提案する企業にとっては、会社の成長や利益拡大、既存顧客の離脱によるリスク低減のためにも、新規顧客開拓は重要な業務のひとつです。

新規顧客へのアプローチ方法には、営業側が顧客に働きかける『アウトバウンド営業』と、顧客側から自発的に働きかけさせる『インバウンド営業』があります。

前者は、いわゆるテレアポ営業や訪問営業、CRMを用いたメール配信などが当てはまります。アウトバウンド営業では、営業側が顧客にしたい相手をアプローチ時点で選ぶことができる一方で、顧客のニーズが分からないため高い契約獲得率を維持することは難しいでしょう。

後者については、SNS運用や広告運用、オンラインセミナーなど、顧客に対して仕掛けを作ることでアポイントを獲得するものです。アウトバウンド営業と違って、営業側が顧客を選ぶことはできない一方で、顧客が自社の製品やサービスに対してある程度の興味関心を抱いた上でアポイントが取れるため、高い契約獲得率が期待できます。

新規顧客開拓では、自社の製品やサービスを売り込む顧客を選定する必要があります。よって、ニュースや調査レポートなどを活用して市場の動向やユーザーのニーズを調査、分析しながらターゲットを絞るようにしましょう。また、顧客によって抱えている課題やニーズが異なるため、企業であれば会社概要や事業内容、個人であれば地域特性や家族構成など、顧客について事前にリサーチをした上でアプローチ方法を考えることが重要です。

見込み顧客の状況把握

ここでの見込み顧客とは、現在取引はしていないが今後契約に繋がる可能性の高い顧客(リード顧客)や、以前契約があったが今は取引をしていない休眠顧客を指します。例えば、過去に一度商談は実施したがその後契約するかどうかの返答が保留のままになっている顧客や、1年前に契約が自動終了していてその後再契約の意思の確認が取れていない顧客などがそれに当たります。

顧客が自社の製品やサービスに多少なりとも興味を抱いており、過去の商談で少しでも契約の可能性があったとしても、その後の顧客管理を怠ってしまうと、せっかくの契約獲得のチャンスが水の泡になってしまいます。

まだ取引に至っていない見込み顧客(リード顧客)に対しては、顧客のデータや商談で得た情報を管理し定期的にコミュニケーションを取ることで、常に顧客の状況を把握しておくことが重要です。さらには、顧客への情報提供やフォローアップを重ねることで、徐々に温度感を高めて契約に繋げましょう。

・商談

顧客とアポイントが取れたら、商談を設定して自社の製品やサービスを提案します。商談の前には、顧客の基本情報や相手を取り巻く状況などを事前にリサーチしておきましょう。事前準備をすることで、顧客の課題やニーズの仮説を立てることができ、商談でより有効な提案がしやすくなります。事前にリサーチする際は、3C分析を使って、提案先企業の市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)のそれぞれついて調べておくと、より仮説が立てやすくなります。

商談では、まずは顧客が何に困っているのか、何を求めているのかを丁寧にヒアリングすることが重要です。顧客のニーズが把握できなければ、的外れな提案をしてしまったり、相手から信頼を得ることができず、商談を成功させることは難しいでしょう。

顧客の課題やニーズを把握できたら、自社の商材でどのようなことができるのか、メリットデメリットを提示しながら提案を進めます。その際、相手の表情や様子をうかがいながら不安点や疑問点がある場合はひとつずつ丁寧に解消していくようにしましょう。商談の場では、顧客の声に耳を傾けながら相手に合わせた適切な提案を行い、互いの考えをすり合わせていくことが大切です。

仮にその商談では契約に繋がらない場合でも、再度商談の機会を設けて時期先で契約に繋がる可能性もあるため、初回の商談ではできる限り顧客を深く理解して、安心感を与えるような関係を築けるように心掛けましょう。

・クロージング

クロージングとは、英語の『closing』を意味しており、営業では商談の最終段階で契約を成立させること、そのプロセス全体を指します。商談では、ヒアリングや提案を行いながら徐々に顧客の購買意欲を高め、最終段階のクロージングで契約合意を取ることが一般的です。

クロージングの段階に入ったら、まずは顧客の様子や反応を見ながら、提案内容に対してどのくらい興味を持っているかを把握しましょう。疑問点や懸念点が残った状態でいきなりクロージングをしてしまうと、契約できる可能性の高い顧客であっても最後の決め手に欠けてしまったり、強引さを感じて逆に温度感が下がるリスクがあります。それにより、せっかく積み重ねてきた提案を断られて失注してしまうケースも少なくありません。顧客の質問に丁寧に答えて、ひとつずつ不安要素を払拭していくことも、クロージングの中で重要なポイントと言えます。

懸念点や疑問点がなくなり、成約のイメージを持ってもらうことができたら、最後は顧客の意思決定を促しましょう。その際は、無理に契約合意を取ろうとせず、顧客の考える時間を設けて回答を待つことも大切です。焦らず、相手のペースに合わせて慎重にクロージングを行いましょう。

クロージングは、段階を踏んで徐々に顧客との関係を築き、顧客が安心して心を開けるほどの信頼を得ることが重要です。クロージングの技術が上がれば、契約成約率も上げられるでしょう。

・契約締結

無事に契約が成立したら、見積もりの作成や契約書の署名・捺印の手続きを行いましょう。

その際に、書類の不備や手続きのミスなどが発生してしまうと、顧客を不安にさせてしまい信頼を損なう可能性があります。商談時にすり合わせた内容に沿っているかどうか、抜け漏れなどのミスがないかどうかをしっかり確認し、迅速に手続きを進めることが必要です。

・アフターフォロー

契約が締結できたからと言って、そこで営業の仕事が終わるわけではありません。今後も継続的に取引してもらえるよう、顧客と定期的にコミュニケーションを取りながら、アフターフォローをすることも重要な仕事のひとつです。

納入後に何かしらのトラブルや不具合が発生した際には、迅速かつ丁寧にフォローをすることで顧客の満足度を向上させることができます。また、顧客と定期的にコミュニケーションを図り、顧客の声をヒアリングすることで品質改善に繋げることもできるため、顧客の離脱防止やリピートの増加が期待できます。さらには、中長期的に顧客と信頼関係を築くことで別商材の営業活動がしやすくなったり、顧客からの紹介による新規顧客獲得に繋がる可能性も考えられます。

近年、消費に対する考え方が大きく変化しており、製品やサービスを一括で購入せずに月額料金を払って利用をするSaaS(Software as a Service)が増加しています。顧客にとっては、導入費用を安く抑えられることや、必要な時に必要な物を利用することが可能です。それにより、サービスを提供する企業は、顧客のサービス利用時から解約時までの総売上を指すLTV(Customer Lifetime Value)や、企業やブランドに対する顧客の愛着度や信頼度を指すNPS(Net Promoter Score)などが重要な指標となっています。近年では、顧客の成長や成功を促すことで顧客の定着化を目指す『カスタマーサクセス』が注目を集めていることからも、アフターフォローは今後もさらに重要視されるでしょう。

営業職に求められるスキルとは?

会社や事業内容、サービス内容によって営業のスタイルは様々ですが、営業に必要なスキルはどれも大きく変わりません。では、営業職にはどのようなスキルが求められるのでしょうか。

ここでは、営業職に求められるスキルを6つの能力に分けて解説します。

・傾聴力

営業において最も重要な能力と言えるのが、傾聴力です。

営業には饒舌さやトーク力が大事だと考える方もいますが、そうではありません。営業の仕事の本質とは、顧客の課題解決を通して自社の売上を最大化することです。よって、まずは顧客の声を聞き出すことが重要です。

一方的に話し続けてしまうと、聞き手は『この人は自分の話を聞いてくれない人だ』と判断してしまいます。すると、相手からの信頼を得られないため、顧客の本音を引き出すことはできません。相手よりも自分が話している割合の方が多いな、相手が黙っていて何も質問してこないな、と感じた場合は注意が必要です。

さらには、顧客が自身の課題に気付いていない場合や、課題の設定を見誤っている場合も少なくありません。営業は、単に顧客の声をヒアリングするだけではなく、顧客が気付いていない潜在ニーズを引き出すような質問力も求められます。

営業は、『話が上手いかどうか』ではなく『聞き上手かどうか』がより重要です。傾聴力がないと、相手の本質的な課題やニーズを引き出せず、的確な提案ができません。顧客との会話を通して、現状の課題や希望、予算などあらゆる角度からヒアリングするようにしましょう。

・コミュニケーション力

コミュニケーション力も営業職に求められるスキルのひとつです。

コミュニケーション力が高いと聞くと、社交性の高さや会話の快活さをイメージする人も多いかもしれません。ですが、営業に求められるコミュニケーション力とは、『相手の真意や意見を引き出し理解しながら、自分の意見を齟齬なく的確に相手に伝えられる能力のこと』を指します。

社交的で明るく、顧客に愛想良く振る舞うことももちろん大事ですが、それ以上に求められるのは、互いにストレスなく円滑なコミュニケーションが取れるかどうかです。顧客の状況や感情を理解しようとせず、自分のペースで話してしまうと顧客にとって心地の良い話し相手とは言えません。

さらに、顧客の言葉をそのまま受け取るのではなく、その場の雰囲気や相手が置かれている立場を理解することで、言葉の裏に隠された相手の真意を捉える力も必要です。

営業職で求められるコミュニケーション力は、自分が伝えたいことを言葉巧みに話す力ではありません。表情や声のトーンなどの非言語から相手の感情や温度感を汲み取り、どのような言葉でどのような伝え方をすべきかを想像しながら会話できるかどうか、が重要なポイントです。

・課題発見力

課題発見力とは、顧客とのコミュニケーションを通して『あるべき姿』と『現状』を適切に把握、分析し、それに見合った『課題』を見つけ出す力のことです。

どれだけ相手の話を傾聴し、円滑にコミュニケーションが取れたとしても、そこで得た情報を上手く読み取れず、的確に課題発見ができなければ、顧客の根本的な課題を解決することはできません。そうなれば、曖昧な提案内容になってしまい顧客は製品やサービスに対して魅力を感じないでしょう。さらに、課題発見を見誤ると、いくら丁寧に時間をかけて提案をしたとしても、そもそも課題設定が的を得ていないため、顧客にとって有効な提案とは言い難いです。

前述でもあったように、課題が表面化している場合もあれば、顧客自身が気付いていない課題も存在します。そのため、様々な角度からヒアリングを行い顧客の声に耳を傾けることはもちろんのこと、前提を疑って思い込みをなくすゼロベース思考を持つことが重要です。さらに、本来の目的を押さえ続けた上で理想と現実のギャップを捉えて、その課題を解決していく仮説を提示することを意識しましょう。

営業の本質は、顧客の課題解決を通して自社の売上の最大化を目指すことです。そのため、課題発見力は営業職において欠かせない重要な要素だと言えます。

・仮説構築力

課題を発見できたら、その次に重要なのが仮説構築力です。仮説構築力とは、今ある限られた情報の中から最も確からしい仮の答えを導き出す能力のことです。顧客の情報やヒアリングした内容を元に、『恐らくこういうことなのかな』と相手の考えやニーズを推測する力が求められます。

仮説を立てることで、仮説を検証するための情報をピンポイントで顧客からヒアリングすることができるため、その後の軌道修正がしやすくなります。そのため、仮説構築力を鍛えることによって、より効率的かつ効果的な提案をすることができるでしょう。

仮説構築力を身につけるには、論理的思考能力を高めるトレーニングをすると良いでしょう。論理的思考能力とは、物事を矛盾なく筋道立てて考える力や、体系的に整理して考える力のことを指します。論理的思考力を身につけることによって、問題点やその要因を分解して考えることが可能になり、仮説構築力や問題解決力の向上が期待できます。論理的思考力は、トレーニングによって徐々に能力を高めることができますが、短期間で取得することは困難なため、日々繰り返し訓練することが重要です。

顧客の課題を解決するために必要な行動を仮説立てし、顧客との会話を通じて仮説を立証していく中で、自社の製品やサービスがどのようにして顧客に貢献できるのかを伝えるようにしましょう。

・ストレス耐性

ストレス耐性とは、自分の心身にかかる負担に対して耐えられる強さや、ストレスに適応し上手く処理する能力のことを指します。

仕事では、時には理不尽なことや自分のミスではないことでクレームに繋がったり、営業職は顧客と最も距離が近い存在であるため、直接顧客から怒られてしまうことも少なからずあります。その際に、辛いけどそれでも頑張ろうと前向きに捉えるのか、辛くて仕事が嫌になってしまい後ろ向きに捉えるのかは、その人次第です。

前者の場合、なんとか顧客からの信頼を取り戻すため、相手の意見を聞き入れて状況を改善しようとするでしょう。一方で後者の場合は、業務に集中ができずパフォーマンスが下がってしまったり、顧客との関係性もさらに悪化して負の連鎖が起きてしまいます。それでは一向に状況が改善されるはずがありません。多少辛いことがあってもポジティブに捉え、顧客に向き合い続ける営業の方が成果を上げられるということは、誰でも容易に想像がつくでしょう。

営業として常に高いパフォーマンスを出し続けるためには、ストレスと上手く付き合っていくことも重要な要素と言えるでしょう。

・行動力

営業職には、行動力も求められます。考えるよりも『まずは自分でやってみよう』という姿勢も重要です。

もちろん、現状の課題やその要因を分析して熟考し、緻密に計画を立ててから行動をすることが求められるシーンもあります。例えば、提案のチャンスが一度しかないような仕事では、安易に失敗ができないためしっかり考えてから実行することが重要視されるでしょう。

一方で、考えすぎたところでまずは行動をしてみなければ実際に見えてこない課題があったり、経験したことで得られる知識や情報もたくさんあります。行動をすることで失敗する機会も多くなるでしょうが、その分フィードバックの機会も増えるので、考えるよりも行動した方が改善のスピードが早く、顧客の要望に柔軟に対応ができます。さらには、行動することで学びの総量が増えるため、自分のスキルアップという観点でも、行動力は自己成長への近道になるのではないでしょうか。

量質転換という言葉があるように、パフォーマンスを高めるためにはまず行動量を担保することも営業職に求められる重要なポイントです。失敗を恐れず、まずは何でもチャレンジしてみるという意識を持てると良いでしょう。

まとめ

営業職は、企業の売上創出に直結する重要なポジションです。営業職に求められる能力は、機械やAIなどのテクノロジーに取って代わることのできない定性要素が強いため、今後も営業職はビジネスに欠かせない存在として社会から求め続けられるでしょう。

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