ルート営業はきつい?新規営業と何が違う?メリットやデメリットを解説!

ルート営業は、現在契約している顧客と継続的な関係を築き、取引の拡大を目指す仕事です。既存顧客と定期的にコミュニケーションを図り、商品・サービスのヒアリングやアフターフォロー、追加提案を行います。
安定した売上を確保するには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の離脱を防ぎ、取引を継続させることが不可欠です。ルート営業は、企業の売上を支える重要な役割を担っています。

しかし、「ルート営業、きつい…」「このままの働き方でいいのかな…」 と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、ルート営業の仕事内容や新規営業との違い、メリット・デメリットを解説した上で、ルート営業の経験を活かした新たなキャリアパスについてもお伝えします。

ルート営業の仕事内容

ルート営業の仕事は、既存顧客のフォローから新規サービスや機能の提案まで多岐にわたります。ここでは、ルート営業の主な仕事を5つに分けて解説します。

既存顧客の深耕営業: 顧客との良好な関係を維持するため、現状の課題や要望を丁寧にヒアリングします。時には、顧客自身が気づいていない潜在的な課題やニーズを汲み取ることが重要です。顧客との対話を通じて、思いがけない新しい契約に繋がることもあります。

取引商材のアフターフォロー: 既に受注した商品・サービスにトラブルや懸念点がないか確認し、サポートします。丁寧なアフターフォローは、顧客満足度の向上やサービスの解約防止に繋がり、安定した収益確保に貢献します。

新商品・新サービスの契約獲得: 既存顧客に対して、新商品や新サービスの提案を行います。既に信頼関係が構築されているため、新規営業に比べてスムーズに商談を進めやすく、高い契約率が期待できます。

取引商材のバージョンアップやオプション提案: 既存サービスのアップデートや新機能がリリースされた際、顧客に契約の更新やオプション追加を提案します。馴染みのあるサービスの改善提案は、新規サービスよりも受け入れられやすく、長期的な取引維持に繋がります。

顧客データの管理: 担当顧客が複数いるルート営業では、顧客との約束やタスク管理が欠かせません。訪問履歴、商談内容、購買履歴などを正確に管理し、顧客からの信頼を維持することが重要です。

ルート営業と新規営業の違い

営業職の中には、ルート営業の他にも現在取引がない顧客の開拓をする新規営業があります。では、ルート営業と新規営業では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、ルート営業と新規営業の相違点や特徴について解説します。

新規営業との違い

ルート営業と新規営業の大きな違いは、『どんな顧客に対して営業をするか』です。先述のように、ルート営業は現在取引のある顧客に対して営業します。既存顧客を順に営業するため、「ルート(route)営業」と呼ばれています。ルート営業は、既存顧客の契約更新や新規契約の獲得によって売上を生み出すことが求められるため、顧客との長期的に良好な関係を維持できるかが重要なポイントです。

一方、新規営業とは現在取引のない新しい顧客に対して営業する仕事です。自社の商品・サービスの説明やプレゼンテーション、交渉などを通して、これまで取引のない個人や企業からの契約獲得を目指します。既存顧客との継続的な取引も重要な営業活動ですが、全ての顧客が契約を継続してくれるとは言い切れません。そのため、新規営業は企業の成長や利益拡大、既存顧客の離脱によるリスク低減のための重要な存在と言えます。

同じ営業職であっても、どんな顧客に対して営業するかによって、仕事内容や顧客へのアプローチ方法が大きく異なります。営業職でキャリア形成を考えている人は、自分の性格やモチベーションを感じるポイントを理解し、最も自分にマッチする職種やキャリアを選ぶと良いでしょう。

新規営業の特徴

『新規営業=飛び込み営業』と捉えられることもありますが、それだけではありません。新規営業には、『アウトバウンド営業』と『インバウンド営業』の2つから成ります。

『アウトバウンド営業』は、営業自らが顧客に働きかける営業手法で、テレアポ営業やCRMを用いたメール配信、飛び込み営業などが該当します。『インバウンド営業』は、自社の商品・サービスにたどり着くような情報発信によって、顧客側から能動的に問い合わせしてくる仕掛けを作る営業手法です。例として、SEOや広告・SNS運用、オンラインセミナーなどの方法が挙げられます。

いずれの場合も、新規営業は自ら顧客を獲得するため成果が目に見えやすく、成果が給与に直結することが多いです。そのため、ルート営業よりも達成感ややりがいを感じやすいという特徴があります。一方、会社や上司から厳しいノルマを課される場合もあるため、ノルマに対するプレッシャーやストレスを感じてしまう人もいるでしょう。

ルート営業のデメリット:「きつい」と感じる理由

ルート営業は「楽」と言われることがある一方で、「きつい」「将来性が見えない」 と感じてしまう側面もあります。ここでは、ルート営業のデメリットと、多くの人が転職を考える理由について解説します。

事務処理作業が多い

顧客との契約や提案数が増えるほど、発注手続き、見積書・提案資料作成などの事務作業が増えます。営業事務がいない会社では、これらの作業をすべて一人でこなさなければならず、本来の営業活動に集中できないと感じる人もいます。

仕事がマンネリ化して飽きやすい

担当する顧客やエリアが固定されているため、ルーティン業務が多くなりがちです。「決まったルートを回って同じような話ばかり…」と感じる人にとっては、変化がなく退屈に感じてしまうかもしれません。

成果が給与に反映されにくい

厳格なノルマがないケースも多く、自身の努力や工夫がインセンティブとして評価されにくい傾向にあります。明確な成果が見えづらいため、モチベーションを維持するのが難しいと感じる人もいます。

顧客との関係維持がストレスになる

ルート営業は、基本的に顧客を選べません。相性が合わない顧客や、理不尽な要求をする顧客とも長期的な付き合いが求められます。人間関係にストレスを感じやすく、特に気を遣うタイプの人にとっては「きつい」と感じる大きな原因になるでしょう。

成長を感じにくい

成果が可視化されにくく、新しいスキルを習得する機会も少ないため、自身の成長を実感しにくい点が課題です。「このままで市場価値は上がるのだろうか…」と将来に不安を感じ、転職を考えるきっかけになることもあります。

ルート営業のメリット

ここまでルート営業のデメリットを紹介してきましたが、もちろん多数の魅力点もあります。ここでは、ルート営業が“楽 ”だと言われる点やメリットについて紹介します。

新規開拓をする必要がない

既存顧客を対象とするルート営業は、基本的に新規顧客を開拓する必要がありません。新規営業では、いきなり個人宅や企業に対してテレアポ営業をしたり、飛び込み営業をすることがありますが、ストレスを感じて大変だと思う人もいるでしょう。ルート営業は既に取引のある顧客を中心に営業するため、新規顧客の開拓に比べて楽だと言われています。新規顧客開拓にストレスを感じる人は、営業職の中でもルート営業のキャリアを選択すると良いでしょう。

顧客とのアポイントが取りやすい

ルート営業は既存顧客を対象とするため、比較的アポイントが取りやすいです。新規営業の場合、今まで取引したことがない顧客に対してテレアポ営業やメール配信、飛び込み営業をするため、簡単に顧客からの信頼を得ることはできません。そもそもアプローチに対して取り合ってもらえず、門前払いされることも多いです。

一方、ルート営業は既に取引のある顧客に営業するため、営業からの提案がある場合に比較的スムーズにアポイントを獲得できるでしょう。さらに、顧客と長期的に付き合うことで、日々の会話内容やヒアリング内容から顧客の課題や要望を把握できるため、顧客ニーズの仮説を立てることが可能です。適切なタイミングで商品・サービスの提案ができれば、新規営業よりも高い契約獲得率を得られるでしょう。

ノルマが厳しくない

ルート営業の場合、新規営業に比べてノルマが厳しくない傾向にあります。新規営業は、新規顧客の開拓が中心のため高いノルマが課されることが多いです。継続的に新規顧客を獲得することは容易ではないため、思うように成果が出せずにプレッシャーを感じたり、ストレスを抱え込んだりしてしまう人も少なくありません。

しかし、ルート営業は既存顧客を中心とした営業であるため、新規営業ほど高いノルマを課されることはほとんどありません。既存顧客との良好な関係維持やアフターフォローに重きを置く企業は、ノルマを設定しない場合も多く、ルート営業のメリットとして挙げられる理由と言えます。

売上が安定しやすい

ルート営業の場合、売上の見込みが立てやすいといったメリットがあります。営業職では、企業や上司から売上ノルマを与えられることが一般的です。新規営業の場合、取引のない顧客から新たに契約を獲得し続ける必要があるため、ルート営業に比べて契約獲得は難易度が高く、安定した売上の見込みを立てることは困難だと言えるでしょう。

一方、ルート営業の場合は既存顧客を相手に営業するため、顧客のニーズや課題を把握できている状況で提案をすることができます。さらに、顧客とのコミュニケーションを通じて、ニーズが発生する時期やタイミングの予測が立てやすいため、目標に対して実績の差が大きく開くことが少なく、安定した売上を作れます。売上ノルマの達成に追われることをプレッシャーに感じる人は、新規営業よりもルート営業の方が向いているでしょう。

商談が進めやすい

顧客との商談が進めやすい点も、ルート営業のメリットと言えます。新規営業の場合、顧客の性格やペルソナに関する情報がほとんど無い状態で商談をするため、会話が弾まないことや厳しい口調で断られてしまうことも少なくありません。自分のコミュニケーションスタイルと合わず、苦手なタイプの顧客も中にはいるでしょう。

しかし、ルート営業の場合は既に付き合いのある既存顧客に対して提案するため、新規営業よりもコミュニケーションが取りやすく、スムーズに商談を進められるでしょう。

なぜ「ルート営業はきつい」と言われるのか?

ルルート営業の「きつさ」は、単なる業務のマンネリ化だけではありません。多くの人が共通して抱える根本的な課題は、「顧客の本当の成功に貢献できているか分からない」 という点にあります。
かつてのルート営業は「御用聞き」として、顧客から依頼された商品・サービスを提供する役割が中心でした。しかし、デジタル化が進んだ現代では、顧客は自分自身で情報を収集し、購買判断を下せるようになっています。

そのため、「御用聞き」だけでは顧客との関係性を深めることが難しくなり、「売上」という目先の目標達成に追われるばかりで、顧客の課題解決や事業成長という本質的な価値提供に繋がりにくくなっているのです。

ルート営業経験を活かせるキャリア「カスタマーサクセス」とは

「顧客との関係構築が好きだけど、今の仕事はきつい…」「もっと顧客に貢献したい!」そう考えている方にとって、カスタマーサクセスという職種は理想的なキャリアパスになる可能性があります。

カスタマーサクセス(CS)とは、顧客の「成功」をゴールに設定し、能動的に支援する仕事です。単にアフターフォローを行うだけでなく、顧客が抱える課題を深く理解し、自社サービスを最大限活用できるよう支援します。
ルート営業が「売って終わり」になりがちなのに対し、カスタマーサクセスは「買っていただいた後からが始まり」と考えます。顧客の成功が自社のLTV向上や契約継続に繋がるため、売上や契約数といった短期的な成果ではなく、顧客との長期的な関係構築と支援に重きを置くのが大きな違いです。
多くの企業がサブスクリプション型のビジネスモデルに移行する中で、カスタマーサクセスは企業の成長に欠かせない重要な役割となっています。

ルート営業の経験者は、以下のようなスキルを活かしてカスタマーサクセスとして活躍できます。

  • 顧客との関係構築力:ルート営業で培った信頼関係を築くスキルは、CSでもっとも重要な能力です。
  • ヒアリング力:顧客の潜在的な課題を引き出す力は、CS業務に直結します。
  • 調整力・交渉力:顧客と社内、双方の意見を調整するスキルは、円滑なプロジェクト推進に不可欠です。

ルート営業で「きつい」と感じていた部分、特に「事務作業の多さ」や「成果が見えにくい」といった悩みは、カスタマーサクセスに転職することで解消できる可能性があります。

まとめ

ルート営業は、安定した売上を支える重要な職種です。しかし、中には「きつい」と感じ、新たなキャリアを模索する方もいます。
もしあなたが「顧客の課題解決にもっと深く関わりたい」「単なる御用聞きではなく、本当に顧客の成功に貢献したい」と考えているなら、ルート営業で培ったスキルを活かして、カスタマーサクセスへのキャリアチェンジを検討してみてはいかがでしょうか。



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