カスタマーサクセスの市場価値は高いの?将来性って実際どう?

近年、『カスタマーサクセス』という職種が注目を集めています。海外では広く知られていますが、日本ではまだ認知度が低いのが現状です。業種によってカスタマーサクセスの市場価値は違いまが、どの業種でカスタマーサクセスが求められているのか、さらに、転職状況や年収についても説明していきます。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、企業が製品・サービスを提供する際、顧客のフォローを能動的に行い、サービス体験の向上へと繋げる職種です。能動的というのは、従来の営業やカスタマーサポートのように問い合わせがあってから施策を実施するのではなく、積極的に顧客と関係を築いて顧客のビジネスを成功に導くことです。また、カスタマーサクセスが顧客満足度を上げビジネスを成功に導くことは、結果として自社の業績アップにも繋がります。

ニーズ増加の背景

カスタマーサクセスは2000年代初頭にアメリカで誕生したと言われ、日本では2017年頃から注目を集め始めました。どうしてカスタマーサクセスの需要が高まってきたのでしょうか。その背景には、主流サービスの移り変わりがあります。現在、市場で主流となりつつあるサブスクリプションサービスですが、サブスクリプションサービスを使用する上で、カスタマーサクセスは重要な役割を担うことになるためです。

サブスクリプションサービスとは

一度の支払いで商品を買い切るのではなく、利用期間に継続して料金を払うことでサービスを受ける支払い形態をサブスクリプションモデルといいます。月単位・年単位と利用料金の区切りは異なりますが、概ね定額制を採用しています。また、通常価格よりも高価なサービスである上位商品を利用することで、付加サービスを受けられることも多いです。企業側は既存顧客に対して上位商品の利用を推奨することで、売上アップを図れます。

例:月額500円で5000作品の映画が見放題(通常定額)
⇒月額1000円で1万5千作品の映画が見放題(高価定額)

定額モデルのサービスは以前から存在しており、定期購読雑誌や家賃などがそれにあたります。これらのサービスは顧客満足度に関係なく、企業側が変わり映えのないサービス・商品を提供し、消費者が分割支払いして利用しているに過ぎません。

サブスクリプションモデルは、顧客満足度を重視している点が特徴です。顧客データの収集や分析、改善をし、リアルタイムで顧客の望んでいる声を拾います。そうすることで、一方的にサービスを提供するのではなく、顧客に寄り添った企画やサービス提供へと繋げることで顧客満足度を上げます。

サブスクリプションサービスが増えた背景

ここからは、サブスクリプションサービスが増えた理由と、サービスのメリットやデメリットを紹介します。

手軽にサービスを受けられるようになった

以前まではパッケージを購入してダウンロードしなければ利用できなかったサービスも、インターネットの普及と進化に伴い、Webでソフトウェアを使用できるようになりました。インストール版に比べてコストが抑えられ、常に最新状態のソフトウェアを利用可能なため、アップデートの負担も減ります。また、サービスを受けるまでの手続きをインターネットで済ませられることから、手軽に契約が可能で利用開始までの時間を短縮できます。

消費者の求めるものが変わった

以前まで、購入することで所有欲を高めていました。例えば、高級時計や車の購入は自分のスペックを示すアイテムとして保有したいという意欲がありました。しかし、景気が悪くなるにつれ、将来への不安を考える若者が増加しました。その結果個人で所有する商品が売れにくくなり、必要な時のみ使用できる商品やサービスに求めるように価値観が変化しました。所有物そのものに価値を見出すのではなく、体験やコミュニティといった無形財産に価値を見出す考えに移行しているのです。その結果、契約期間中のみに使用できるサブスクリプションモデルのユーザーが増えたと考えられています。

提供する企業のメリット

サブスクリプションサービスを提供する企業にとってのメリットを3つ紹介します。1つ目は、1つのサービスに利用を集中することで、データを活用して改善や分析を徹底できることです。また、アップデートしたサービスを即時で利用可能なので、パッケージの追加などが不要となり、コストを削減できます。

2つ目は、長期的な収益を見込めることです。顧客満足度を維持しながら解約率を下げることで、顧客から継続的に収入を得ることが可能です。徐々に顧客数を増やすことで、開発やマーケティング費用といった先行コストの回収をし、黒字にするスタイルがサブスクリプションにおける定番と言えるでしょう。

3つ目は、マーケティングの方向性を定めやすいところです。顧客が解約をしない限りは、継続的に売上を得られ、大量の解約がない限りは売上の上下幅が読みやすいです。1つだけのサービスを管理すればいいわけですから、顧客の動向を分析しやすく、解約の原因究明もしやすいです。顧客が何を望み、何に不満を得ているのかを探ることで、マーケティングの方向性や改善点、企画を機敏に決められます。

サブスクリプションサービスとカスタマーサクセスの関係

顧客の1人1人が継続的にサービスを利用することで、着実に売上を伸ばすサブスクリプションサービス。しかし、利益を上げるためには長期利用を必要とするため、顧客満足度を維持しなければなりません。そこで企業は、カスタマーサクセスを置き、マーケティングを明確にさせて顧客への”成功体験”を作り上げることで、サービスの継続利用を促します。従来の『カスタマーサポート』とは一線を画し、事前の問題解決やより良いサービスの推奨を通して売上を伸ばすことがカスタマーサクセスの目的です。

カスタマーサクセスの市場価値が高い理由

上記のことからサブスクリプションモデルの増加に伴い、カスタマーサクセスの需要は増えました。しかし、日本国内ではカスタマーサクセスという言葉自体、まだまだ認知度が低く、ノウハウを持っている企業が少ないのが実情です。一方ここ3年間で、『カスタマーサクセスおよびインサイドセールス』の求人数は約12倍に増加しています。新たな営業の形態として認識され、企業にとっても重要視されていることを意味します。

また、急成長を遂げているSaaSビジネスにおいて、カスタマーサクセスは必須です。エンジニア不足と言われてから久しく、エンジニア業界では『カスタマーサクセスエンジニア』と呼ばれる言葉まで誕生しました。エンジニア業界では注目され始め、重要なポジションとして認知されるようになりました。

カスタマーサクセスは主に、顧客のニーズを調査・分析し、他部署と連携を取りながら幅広い業務を取り扱うことが期待され、今後もますます需要が増加します。需要の多さに反し、供給がまったく追いついていないのが、カスタマーサクセスの現状であり、市場価値が高いポジションの職種となっています。

カスタマーサクセスの将来性

カスタマーサクセスはこれからもどんどんとニーズが増えると予想され、その理由に、上記でも記したように、SaaSによる成長と市場拡大が大きく影響しているといわれています。

SaaSとは?

SaaS(サース)はSoftware as a Serviceの略で、パッケージの購入やインストールをせずとも、オンラインで使用可能なサービスのことを指します。利用するのに余計な手間や容量を抑えることができ、Saasの多くはサブスクリプションモデルとなっています。

SaaSの種類

ホリゾンタルSaaS

ホリゾンタルには『水平の』という意味があり、これは『業種に関係なく使用されるSaaS』を意味します。日本国内では一般的にホリゾンタルSaaSが採用され、職種に関係なく広い企業で利用できます。例として、会計クラウドサービスやオンラインストレージサービスが挙げられます。

バーティカルSaaS

バーティカルには『垂直な』という意味があり、これは『特定の業種に使用されるSaaS』を意味します。ホリゾンタルSaaSとは対照的に、適用する範囲が絞られているので汎用性に乏しいです。一方で特定の業種に特化したカスタマイズを施しているため、使用する業種にとってはより使いやすく効果的な利用が可能です。ホリゾンタルSaaSよりも後発で、海外でもごく最近になって注目が高まっているSaaSです。今後はバーティカルSaaSの成長が著しく発展するだろうと予測されています。例として、医療機関に特化した『CLINICSカルテ』や建設業界に特化した『ANDPAD』などがあります。

ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの違い

ホリゾンタルSaaSを提供するメリットは手広く新規開拓できる点であり、知名度を上げやすいです。一方で、競合が多く競争が激しいことがデメリットになります。

反対にバーティカルSaaSは競合が少なく、特定の業界で認められれば、その業界での高いシェアを狙えます。しかし、導入数は限定的なものとなり、知名度を上げるのが難しいです。

SaaSとカスタマーサクセスの今後

ホリゾンタルSaaSは成熟期を迎え、新たに参入しようとすれば競合がひしめき合って、中々勝ち残るのは難しくなります。差別化を図って独自の強みを持つことが、参入するうえで欠かせなくなるでしょう。

一方、バーティカルSaaSという言葉は誕生したばかりで、これからもあらゆる業種に根付いていきます。成熟期を迎えたSaaSのユーザーは、まだ開拓されていない業界特化のバーティカルSaaSへ流れ込むでしょう。当然、SaaSに重要なカスタマーサクセスにも需要も高く、将来性が高いといえます。

カスタマーサクセスの年収

カスタマーサクセスの年収は、求められる経験年数や年齢、企業によってばらつきがあります平均年収350〜900万とされており、キャリアによっては1000万円以上になることも。国内ではまだ認知度が低く取り入れている企業も少ないため、キャリアを積むことで給与に反映できる可能性が高いです。

多くの企業が、カスタマーサクセスを育成し成長させる段階であるため、企業内でのモデルロール形成を担える可能性があります。カスタマーサクセスの成長は企業の売上アップにも繋がるので、給与やボーナスのアップも見込めるでしょう。

カスタマーサクセスに転職するには?

国内では認知度がまだ低いと説明しましたが、それは詰まるところカスタマーサクセスの業務内容がイメージしにくい点があります。事前に業務内容を調べて把握することで、考えていた業務内容とのギャップを埋めることが大切です。

転職するにあたって必要なスキル

求人サイトではカスタマーサクセスを募集する企業が増加をしています。次第に認知されてきたことと、エンジニア業界でカスタマーサクセスが重要だという意識変化が起きているからです。そこで、カスタマーサクセスに転職する上で必要なスキルを4つ挙げます。

コミュニケーション能力

多くの企業で欠かせない能力ですが、カスタマーサクセスは顧客や別部署との連携のために必要な能力です。顧客と密にコミュニケーションを取らなければ、カスタマーサクセスの本来の目的である『顧客の成功』を成し遂げません。また、顧客の分析結果や求める声を伝えるのもカスタマーサクセスの業務であり、他部署と逐一コミュニケーションを取ることが求められます。

ホスピタリティ能力

顧客とコミュニケーションを取るだけでなく、顧客の抱える悩みをヒアリングする力や、顧客のニーズに合わせた提案ができる力、顧客の気付いていない潜在的ニーズを引き出すため、高い共感力が必要です。

分析力

顧客のビジネスを成功に導くため、あらゆるデータを紐解いて分析する必要があります。契約に至った経緯・顧客の利用頻度・解約の時期・解約の理由などを分析して、新たなことに気付くことができ、改善へと繋げられます。マーケティングでも分析は基軸になる大切な業務なため、能力が高いと企業から高い評価を得られます。

営業経験がある人

営業は顧客と会話をするので、必要最低限のコミュニケーションを持っていることが多いです。また営業のノウハウは、そのままカスタマーサクセスに必要なスキルにもなります。違う点としては、カスタマーサクセスは提案をして契約を結んだ時点で終了とならないところです。契約を結んだ上で顧客との深い関係を築かなければなりませんので、長い期間を通して顧客に寄り添うことが辛いと思われる人には向いていないでしょう。

上記の1と2を基に考えると、営業でキャリアを積んだ人はカスタマーサクセスに向いており、コミュニケーション能力やホスピタリティ能力が買われることが多いようです。

まとめ

SaaS及びサブスクリプションモデルが主流ビジネスになったことで、カスタマーサクセスの需要と市場価値が高まりました。需要と供給のバランスが見合っていないことから、カスタマーサクセス経験者は重宝され、未経験でも挑みやすい職種となっています。

未経験者が挑める理由として、カスタマーサクセスという言葉は国内ではまだ浸透しきっておらず、ノウハウを持っている経験者が少ないからです。すると、企業側としても経験者だけを募集するのが難しくなり、未経験での採用を検討することになります。しかし、市場価値が高い一方で重要な役割を担うことから、ある程度のスキルが必要になります。

カスタマーサクセスに興味を抱き、転職を考える場合には、事前に必要なスキルを調べておく必要があり、特に営業キャリアを培っていることが強みと言えます。

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