カスタマーサクセスとコンサルの違いとは?仕事内容から向き不向きまで徹底解説!

カスタマーサクセスとコンサルティングは一見似ているようで、実は全く異なる業種です。カスタマーサクセスは製品やサービスの顧客満足度を追求しますが、コンサルティングは企業の問題解決を目指し、戦略的なビジネス改善を提案します。これらはどちらも重要な役割を果たすものの、その役割や方法は大きく異なります。

本記事では、これらの職種がそれぞれどのように顧客の成功を追求し、どのように相互に関連するのかを解説します。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、企業が提供する製品やサービスの顧客満足度向上を目指す職種です。顧客が製品を正しく理解し、効果的に使用できるように支援します。昨今拡がっているSaaSビジネスでも、カスタマーサクセスはビジネス成功の要として注目されています。

カスタマーサクセスの役割は顧客の期待を超える価値を提供することであり、その達成のためには、顧客のニーズを理解した上で、顧客に製品の良さをより理解してもらえるよう教育する必要があります。

また、カスタマーサクセスは、顧客からの要請に応じて解決策を提供する受動的な対応だけでなく、顧客が課題に直面する前に、予防的な措置やアドバイスなど将来を見越した積極的なアプローチも行います。

カスタマーサクセスの働きによって顧客満足度が向上すると、既に契約している製品と関連する別の製品を追加で購入するクロスセルや、より上位の高価な製品を購入するアップセル、契約の長期継続などにもつながります。

コンサルティングとは

コンサルティングとは、企業が直面する課題の解決や、ビジネスの機会を最大化のために、専門的な知識に基づいたアドバイスを行う職種です。

コンサルティングは業界のトレンドや戦略的なインサイト、技術的な専門知識など、幅広い専門知識を用いて顧客のビジネスを最適化し、競争力を向上させます。

コンサルティングの主な役割は、顧客と緊密なコミュニケーションをとりながら協力関係を築き、顧客のビジネス目標を達成するための戦略と実行計画を提供することです。コンサルティングは広範な業界の企業に対して行われ、ITや組織改革、人事、マーケティングなどの領域のアドバイスを行います。

コンサルタントはコンサルティングファームに所属していることが多いですが、個人で活動している場合もあります。

カスタマーサクセスとコンサルティングの違い

カスタマーサクセスとコンサルティングは、顧客のビジネスの成功を目指す方向性は同じですが、その目的やアプローチなどは違います。ここからは、両者の違いについて詳しく解説します。

役割・目的
カスタマーサクセスとコンサルティングは、企業や組織におけるビジネスを成功に導くためにそれぞれ異なる役割と目的を持っています。

カスタマーサクセスの目的は、顧客が製品やサービスを最大限に活用するためのアドバイスやサポートを行うことにより、顧客の満足度を高め、長期に渡って良好な関係を築くことです。

顧客と密接な関係を築き、定期的なコミュニケーションを通じて顧客のビジネス課題や目標を理解します。そして、顧客が製品やサービスを最大限に活用できるように、アドバイスや提案・助言を行います。

カスタマーサクセスの働きによって顧客は製品の機能を理解し、問題が発生した際に効果的な対処ができるようになります。また、顧客のニーズや要望などのフィードバックを収集し、製品やサービスの改善に反映します。これにより、製品やサービスの機能が一層進化します。

一方、コンサルティングの主な目的は、専門的な知識やノウハウをベースに、顧客が直面しているビジネス課題に関して分析や検討を行い、解決のための助言や提言を行うことです。業績を向上させるための戦略やソリューションの立案なども行います。

顧客のニーズや課題を理解するために情報収集して分析を行い、目標達成のために市場調査や競合分析、リスク評価などを通して適切な戦略や計画を策定して提案します。

また、コンサルティングは提案した戦略や解決策を顧客が実施する段階で、計画通りに行われるようにサポートします。終了後には成果をモニタリングし、戦略や解決策の効果を評価して、必要に応じて調整を行い、プロジェクトの成功を目指します。

業務範囲
カスタマーサクセスとコンサルティングのそれぞれの業務範囲は多岐に渡ります。対象となる製品やサービスの内容なども異なります。

カスタマーサクセスの活動は自社の製品やサービスに限定されるため、業務範囲はコンサルティングに比べて狭くなります。顧客の継続的な成功にフォーカスし、製品やサービスの利用を通じて持続可能な価値を提供することがカスタマーサクセスの主な業務です。また、顧客が製品やサービスを利用する過程で発生する課題に対処し、解決策を提供します。顧客はスムーズに製品を活用できるようになり、顧客満足度の向上にもつながります。

このようにカスタマーサクセスは特定の製品に関する顧客の活動に深く関わりながらサポートすることを重視しています。

コンサルティングは顧客の抱えているあらゆる課題に対して戦略的なアプローチが求められます。顧客の具体的な目標や期待値を正確に把握し、問題の特定と診断を踏まえて、最適な戦略や解決策を提案します。顧客が直面する問題は広範囲にわたるため、コンサルティングの業務範囲は幅広く、専門性も高くなければなりません。業界の深い知識が必要であり、常にアンテナを高く保って最新の市場動向や技術を追い求めることが重要です。

また、提案した戦略や解決策を顧客が組織やプロセスに実際に導入する段階でサポートします。これには、プロセスの管理、トレーニングの実施などが含まれ、必要に応じて組織の改編、新規技術の導入の提案などを行います。

コンサルタントが提案した戦略や計画を顧客が導入したら、戦略や解決策の成果をモニタリングし、期待している目標が達成されたかどうか評価します。

成功の定義
カスタマーサクセスとコンサルティングは、ビジネスにおいて異なる役割を果たしており、それぞれの成功の定義も異なります。

カスタマーサクセスにとっての成功は、顧客満足度の長期的な向上です。顧客が製品やサービスの価値を見出し、長期間にわたり満足して利用し続けることが高評価につながります。

顧客との円滑なコミュニケーションも成功のポイントです。定期的なコミュニケーションによって、顧客と親密な関係を維持することで顧客からのフィードバックを適切に収集し、次の製品やサービスに活かせます。

さらに、カスタマーサクセスの働きによって顧客は製品やサービスをより理解し、広範囲に活用する機会やヒントを得ます。アップセルやクロスセルなどにも発展し、売り上げの増加も期待できます。

コンサルティングの成功は、顧客が直面する具体的な問題や課題に対して解決策を提供し、顧客のビジネス目標を効果的に達成することです。そのためコンサルティングは、問題の本質を理解し、それに基づいて実現可能な戦略を策定します。

また、コンサルタントの提案やサービスに対して、顧客が満足していることも重要です。顧客が提案された戦略に期待通りやそれ以上の価値を感じていれば評価も高くなります。

コンサルタントが提案した戦略や改善が一時的ではなく、長期間に渡って効果的な影響をもたらすこともコンサルティングの成功といえます。顧客が長期的に戦略を採用し、売り上げの増加などのポジティブな変化をもたらすことが重要です。コンサルティングはカスタマーサクセスと比較すると、より戦略的で広範囲なビジネスの改善を目指し、企業全体の成果を重視しています。

課題解決を目指す範囲
カスタマーサクセスとコンサルティングは、顧客の課題に対してアプローチする範囲が異なります。

カスタマーサクセスの役割は、自社が提供するサービスを購入、契約した顧客の課題解決をサポートし、成功体験を生み出すことであるため、課題解決を目指す範囲は、自社の提供サービスの利用を前提とした特定の課題のみに留まります。

カスタマーサクセスとは、このような特定の課題が解決されるまで顧客と共に伴走することです。また、課題解決までのスピードを最速化できるように、課題解決に向けて行う施策の実行まで伴走を続け、顧客が自社サービスを長期的に活用し続けるよう促します。

ただし、カスタマーサクセスの課題解決の対象となるのは、あくまでサービスの利用範囲に留まるため、企業が抱える全ての課題の解決につながる訳ではありません。

コンサルティングでは、顧客からの相談や聞き取りを通して、顧客が抱える幅広い課題を収集し、解決方針を策定していきます。課題解決を目指す範囲は幅広く、分析を通して、顧客自身が気づいていない課題にまで手を伸ばします。

そもそも顧客が抱える課題は明確化されていない場合が多く、幾つかの要因が絡まり合って複雑化しているため、コンサルティングには高度な調査分析能力や思考力が求められます。

コンサルティングが目指すのは顧客との長期的な関係ではなく、あくまで顧客の課題解決です。そのため、目的が達成されれば協力関係は終了します。

顧客との関係性
カスタマーサクセスは、顧客との長期的な関係構築を重要視します。顧客が製品やサービスの価値を見出して、効果的に利用するためのサポートやアドバイスを行うことで、顧客満足度が高まり良好な関係を維持できるのです。

一方、コンサルティングと顧客の関係は特定のプロジェクトや課題に焦点を絞った短期的なものとなります。プロジェクトの目標が達成されると、コンサルタントと顧客の協力関係は終了します。顧客の課題解決を目指し、プロジェクトベースの関係性を築きます。顧客とは短期的な関わりとなりますが、次回以降のプロジェクトでも再度依頼してもらえるように、良好な関係を構築することは大切です。

対価の対象
カスタマーサクセスでは、提供しているサービスへの対価が発生します。企業は顧客に対して長期的な関係性の一環として、サポートやトレーニング、新機能の導入、追加の価値や情報などを提供し、そのサービスに対する対価を受け取ります。

一方、コンサルティングは、専門知識や経験に基づいたアドバイス、戦略策定を行う人材の稼働状況に対して対価が支払われます。顧客は特定のプロジェクトやビジネスの課題に対して契約し、提供された人員と工数に基づいて対価を支払います。

ゴール
カスタマーサクセスのゴールは、顧客に自社製品やサービスを不可欠なものと感じさせ、継続的に利用してもらうことです。顧客が製品に対して期待以上の価値を感じれば、長期的な契約やロイヤリティ向上に繋がります。LTVを高めるためにも、顧客のニーズを的確に把握し継続的なサポートや価値提供が大切です。

コンサルティングのゴールは顧客が直面する課題を解決し、明確な成果をもたらすことです。コンサルティングは専門的な知識やスキルを活用して、具体的なプロジェクトのゴールが達成された時点で、コンサルティングの任務完了とみなされます。

求められるスキル
カスタマーサクセスでは、顧客との効果的で円滑なコミュニケーションが不可欠です。そのため、顧客のニーズを理解して製品やサービスの価値を伝え、さらにフィードバックを収集するスキルが求められます。さらに、マーケティングや営業など他の部門と連携して、チーム全体で顧客の成功を支援することも重要です。

また、カスタマーサクセスには顧客が直面する問題を理解し、効果的な解決策を提供するスキルが必要です。これによって、顧客の抱える課題が迅速に解決され、満足度の向上にもつながります。

コンサルティングには、特定の業界や領域における深い専門知識が求められます。顧客のビジネス課題を分析し、問題点を明確に理解するスキルも必要です。これらの能力をもとにデータを活用して客観的な分析を行い、効果的な戦略の策定や提案をします。

さらに、短期間で顧客との信頼関係を構築し、迅速かつ柔軟に対応するためのコミュニケーション能力も必要になります。

カスタマーサクセスに向いている人とは

カスタマーサクセスに向いている人は、顧客の成功を最優先に考えられる人です。優れたコミュニケーションスキルや問題解決能力など、顧客との関係を深め顧客満足度を高めるために必要な一連のスキルを持ち合わせていることが重要です。

また、顧客からのフィードバックを的確に理解し、それをもとにサービスの改善を提案できる分析力も重要です。
効率的な顧客管理のためにデジタルツールの利用が必須となるので、ITスキルにも精通していることが望ましいでしょう。

顧客の成功を最優先に考えられ、良好な関係を築くためのスキルと情熱を持つ人は、カスタマーサクセスに向いているといえます。

コンサルティングに向いている人とは

コンサルティングに向いている人は自身が持つスキルや知識を活かして、顧客の成長と成功をサポートできる人です。顧客の問題を解決するために高い洞察力と分析力が必要であり、課題に対して戦略的な解決策を提供することが求められます。業界のトレンドや市場の動向に敏感で、常に新しい情報をキャッチし、顧客に最適なアプローチを策定するスキルが必要となります。

また、効果的に提案を伝えるために優れたプレゼンテーションスキルも不可欠です。多様な業界やビジネスモデルへの適応力も求められるので、広い視野を持ち柔軟に対応できる人材が望ましいでしょう。

カスタマーサクセスとコンサルティングの関係性

これまで、カスタマーサクセスとコンサルティングという、似ているようで異なる2つの業種について解説しました。ビジネスの継続的な成功のために、カスタマーサクセスとコンサルティングを適切に組み合わせることが重要です。両者を有効に活用することで、企業は顧客との深い関係を築き、ビジネスの成長と課題の解決に向けて戦略的な手段を得られます。

ここからは、カスタマーサクセスとコンサルティングを効果的に連携させるためのポイントを解説します。

カスタマーサクセスとコンサルティングの連携
ビジネスを取り巻く環境が複雑さを増す中で、顧客の課題に対処し、持続的な成功を追求するためには、カスタマーサクセスとコンサルティングの両者を連携させることが非常に有効です。

コンサルティングは顧客のビジネス課題や目標に対して深い理解を持ち、専門的な知識を駆使して戦略を緻密に立案します。この段階で明確かつ実現可能な戦略を立てることが、その後の効果的なアプローチにつながります。

カスタマーサクセスは、コンサルティングで提案された戦略を実際のビジネス現場において迅速かつ効果的に実行します。両者の連携により、戦略の立案と実行がシームレスに繋がり、計画の一貫性が維持され、企業におけるビジネスの成功をもたらします。

コンサルティングの段階でカスタマーサクセスまで考慮
コンサルタントはさまざまな業界やビジネス領域で豊富な経験を積み重ねており、市場の動向や業界における効率的な手法や方法論にも精通しています。これにより、顧客が抱える特定の課題に対して最適な戦略を立案できます。

一方、カスタマーサクセスは戦略の実行段階を引き受け、顧客との緊密な関係構築に注力します。また、コンサルティングとの継続的な連携により、必要に応じてリアルタイムでの調整や改善が可能となり、変化する状況に対しても柔軟に対応可能です。

コンサルティングの段階でカスタマーサクセスまで考慮することで、顧客満足度向上や企業のビジネス拡大が達成できます。両者が連携することで相乗効果が生まれ、顧客との長期的で良好な関係やビジネスの成功につながります。

まとめ

カスタマーサクセスとコンサルティングは、ビジネスの異なる側面に焦点を当てるアプローチです。カスタマーサクセスは特定の製品やサービスを通じて顧客の成功をサポートし、長期的な関係を築くことに重点を置いています。

一方、コンサルティングは専門的な知識や経験を活かし、特定のビジネス課題に対する有効な戦略を立案します。両者が連携することで、効果的な問題解決と緊密な顧客関係の構築に寄与し、ビジネスの継続的な発展が期待できます。

カスタマーサクセスとコンサルティングの両方の手法で顧客にアプローチする場合は、両者の違いを明確に理解し、それぞれを効果的に利用して成果の最大化を目指しましょう。