営業にセンスは必要?センスのある人の特徴とは?!

営業がお客様に愛され、売上を上げるには営業スキルも大切ですが、営業センスも重要です。『あなたから購入したい』『あなたが勧めるなら間違いない』『あなたを信頼している』などの理由で顧客から選ばれ、必要とされる営業は会社からも必要とされます。しかし、どんなに頑張ってもお客様から断られ、思うような成績が出せない営業もいます。要因の一つに『営業センス』があるでしょう。営業センスは感覚的、感性的なもので生まれ持った能力と思われがちですが、実はセンスには明確な思考パターンや行動パターンがあります。つまり、営業センスは意識し、努力することで身につけるということです。本稿では。営業センスを身につけるためにはどうしたらいいのかを紐解いていきます。

営業センスがある人とない人では成果が変わる?

営業センスのある営業は、センスを上手く活用して営業活動します。その結果、営業センスを持っていない営業と比べて営業成績で大きく上回り、業績にも良い影響を与える可能性が高いです。その理由を考えてみましょう。

まず、営業センスと似た言葉に営業スキルがあります。営業スキルとは営業を効率的かつ効果的に行っていくために重要な能力を指します。具体的には、コミュニケーション能力やヒアリング能力、課題発見能力、ロジカルシンキング能力などで様々なスキルが存在します。営業スキルはわかりやすく言語化できるのに対して、営業センスは言語化して説明することが難しいです。そもそもセンスとは、物事の感じ方や味わいなど、個人の価値観によって感じ方が異なるものです。営業に置き換えて言語化すると、営業の成功率を上げられるポイントや顧客の反応などを読み取り、察知できる感覚のことと言えるでしょう。つまり、スキルは相手にかかわらず誰にでも使えるのに対して、センスは目の前の相手によって判断が変わるということです。営業センスは素質型と努力型の2種類に分けることができます。それぞれを見ていきましょう。

・素質型
素質型とは、生まれ持った気質や育った環境によって自然と営業センスが培われているパターンを指します。

素質型の営業は、その営業センスを意識的・無意識に活用して営業活動を行っており、持ち前の感性やコミュニケーション能力の高さ、提案力などを活かして、顧客のニーズを聞き出します。例え成果に繋がらなかったとしても課題やニーズを引き出したり、信頼関係を構築したりすることが可能です。ただし、素質型の営業は、感覚で行動している場合が多く、営業が成功した際のノウハウやナレッジを組織に対して共有できないことが多いです。素質型は理論ではなく個人の感覚や特性、性格に基づく要素が多いため、同僚や部下が同じやり方を試みても同じように再現することはなかなか難しいと言えます。

・努力型
努力型とは、営業スキルやテクニック、経験を積み重ねていくことにより、生まれたり磨かれたりする感覚や働きを指します。

例えば、上司や先輩の営業手法を真似る、セミナーやウェビナーに参加する、本を買って読むなどの学習方法があります。そのような体験や経験、挑戦をすることにより、営業の感覚を研ぎ澄ますことができ、自信の言動が顧客にどう作用するのかを分析することでセンスが磨かれます。そして、自身で実践してきた方法がセンスへと繋がっているため、ノウハウ等も共有しやすいというメリットがあります。

このように営業センスは限られた人のみが与えられた能力ではなく、自らセンスを生み出すこともできます。営業スキルと共に営業センスも磨いていきましょう。

センスがある人の特徴

営業センスを持っている営業の特徴について解説していきます。一般的に営業センスがある人とない人の違いはどこにあるのでしょうか。一例を見ていきます。

営業センスがない人
・人の気持ちを汲み取ったり、場の空気を察知したりすることができない
・会話がずれる、コミュニケーションが成立しない、話の的を外してしまう

営業センスがある人
・相手の気持ちを汲み取り、欲しいものや情報を先回りして提供できる人
・その場、その状況に合わせて、適切なアウトプットができる人

前述したように、営業センスの違いは営業成績に大きな違いを作ります。ここからは営業センスが高い人の特徴をご紹介していきます。

顧客の気持ちやニーズを読み取れる

顧客が今何を感じ、何を求めているのかを感じ取ることは、営業成績を上げるために重要なポイントの一つです。感覚的に顧客のニーズを感じ取ることは決して簡単ではありません。営業は質問などによって顧客のニーズを引き出さなければなりません。顧客がニーズを話してくれない場合や、顧客自身がニーズに気付いていない場合は、顧客を分析してニーズを予測し、提案するなどのテクニックが必要です。ニーズは顧客層に合わせてある程度分類できますので、どのような顧客層にはどのようなニーズがあるのかを分析し、顧客のニーズを捉えることで営業センスを磨けます。

必要なことだけを的確に伝える

顧客のニーズを捉えたら、適切な表現と内容で解決策を提示する必要があります。的確に伝えるということは、コミュニケーション能力も重要ですが、コミュニケーションする前の土台作りも必要です。例えば、商品やサービスに関する知識や競合他社、業界の動向、社会情勢、経済などの知識です。理由としては、顧客に合った内容を伝えるためにも、必要最低限の知識や情報を持っていないと、顧客の利益になる情報を伝えることが難しいからです。自社の商品やサービスを理解しておくことは当然ですが、競合他社や顧客に関係する市場や業界の動向など幅広い情報を取り込めるよう意識しておくと良いでしょう。

営業センスがある営業は、効率よく収集した情報や顧客から聞いた情報などを、提案の中で上手く組み込みます。また、顧客の理解度に合わせて営業トークを変えたり、専門的で難しい箇所をわかりやすく説明したりするなど、顧客の状況に合わせて提案の仕方を変える工夫をしています。

適切な距離感

営業センスがある営業は顧客にとって重要な相談相手の一人と認識されることが多いです。このような関係性を築くのはとても難易度が高く、営業力が試されます。

人はたまに長い時間会う人よりも短時間でも頻繁に会う人に好意を持つと言われています。例えば、同じ5時間なら1回で5時間会う人よりも1時間ずつ5回会う方が信頼に繋がるということです。実際に会わないにせよ、メールや電話でも構わないので、こまめな報告や相談を心がけるなど、多少無理にでも機会を作ることが必要でしょう。

良い印象を与えるのが上手い

顧客に良い印象を与えるということは、顧客に対して最も響くであろう言葉を選択してコミュニケーションを取ることです。トップ営業ほど顧客の心に刺さる言葉を使うため、顧客は『この商品やサービスを使うことで望む結果を実現できる』と考え、期待するようになります。顧客に伝わる情報はどのような言葉や表現を使うかで変わり、反応に違いが生まれ、成約率が変化します。ここで重要となるのが相手に合わせてベストな言葉を選択することで、これはトレーニングできます。

相手に行動してもらうことができる

いくら商品やサービスの説明がしっかりできたとしても、顧客を動かす力がなければ成果には繋がりません。顧客を動かすとは、商談の場であれば購入してもらうこと、アポイント獲得時では商談の場をもらうことです。顧客を動かす力があるかどうかは、営業の業績に直結する重要なポイントになります。最も大きなポイントは、商品やサービスを導入した際にどのようなメリットがあるのかを具体的にイメージさせられるかどうかです。メリットを数値化したり、事例を紹介したりするなどして具体的なイメージを抱いてもらえるように働きかけます。視覚的にわかりやすくするための営業ツールを使用するのも効果的でしょう。

センスを身につけるにはどうしたらいいのか?

ここからは、具体的に何をしたらセンスを身につけられるのかを考えていきます。

顧客の気持ちやニーズを読み取るには?

顧客の気持ちやニーズは時間を追うに従って内容が変わります。つまり時間経過に伴って顧客とのコミュニケーションが変わるということです。まずは、日頃の自分自身の行動を記録していきましょう。自身の営業活動で顧客がどのような感情に変化していくのかを把握するため、記録を残すことで顧客が求めていることを分析できます。顧客の感情の変化を把握するためには、とにかくこまめなフィードバックをもらうことが重要になります。

必要なことだけを的確に伝えるには?

必要な事柄を的確に伝えるには『結論から話す』ことが効果的でしょう。結論から話し、その後の結論までの過程を論理的に説明することをお勧めします。結論から伝えることで伝えたいことが相手の印象に残り、相手に余計な時間を取らせません。

論理の説明に必要な思考方法にロジカルシンキング(論理的思考力)があります。ロジカルシンキングはビジネスの場において必要不可欠な能力と言えるでしょう。ロジカルシンキングとは、物事を整理・分析する作業から始まり、分析された物事の中から結論を見出す作業とも言えます。

適切な距離感を保っている?

顧客との距離には2種類あり、1つは『物理的距離』もう1つは『精神的距離』です。顧客によってどれくらいの物理的距離が心地良く、どれくらい心に寄り添うのが適切なのか意識することがポイントになります。それを知るためにはまず、場数が必要です。アポイントや状況確認など、まずは話をすることが大切です。そしてその後のレスポンスや反応を見て、連絡の頻度を調整します。単に話すだけでなく距離感を意識しながら話すことで、相手にとっての適度な距離感が掴めてくるはずです。

良い印象を与えられている?

良い印象を与えるにはコミュニケーション能力も大切ですが、身だしなみを整えておくことも重要です。身だしなみのポイントは清潔感や品位、そして落ち着きといった要素を押さえておくといいでしょう。笑顔や明るいトーンの声を心がけることも大切です。電話の時も口角を上げて声色を意識することで相手に与える印象はガラリと変わります。

最後にどんな時でも相手の行動に対して感謝を述べることを忘れないようにしましょう。些細なことでもありがとうの気持ちを伝えることで相手に良い印象を与え、この人から買いたいと思ってもらえるきっかけになるかもしれません。

相手に行動してもらうことができているか?

顧客に商品やサービスを購入するという決断をさせるにはどうしたらいいでしょうか。それには、顧客視点に立ち、顧客を理解することが重要です。その上で最適な営業をすることがポイントになるでしょう。実現するための方法の一つとして受注までのスケジュール管理があります。顧客の『購入する』という行動は、『購入したい、購入する必要がある』という気持ちになることで生まれます。そして『購入したい、購入する必要がある』と思ってもらうためには、どのようにコミュニケーションを取り、どのような情報発信が必要かを緻密に考え、実践しなければなりません。

営業はヒアリング力が重要と言われ、なんでも顧客の言いなりになることが良いのではと思われがちですが、それだけでは購入するか否か迷っている顧客は決断ができず、結果失注になるケースも多いのではないでしょうか。時には顧客といえども遠慮せずに契約の締め切り期限を設けて依頼をするなどして、顧客のホットボタンを押すことが効果的になります。ただしこの手法を使うには日頃から顧客との信頼関係を構築しておくことが必要でしょう。

今すぐ実践できる営業センスを磨く方法とは?!

生まれ持ったような営業センスは身につけることはできませんが、自身で学びながら営業センス身につけ、磨くことは可能です。ここからは営業センスを磨く方法を解説していきます。

営業センスがある営業から学ぶ

最も手っ取り早いのは身近にいる営業センスのある営業から学ぶ方法です。営業センスのある上司や先輩の営業に同行する、動向してもらう、同行時の先輩や上司のトークをメモ・録音してトークスクリプトとして活用する。また、同業の営業と情報交換をするなどがあります。営業センスを身につけている人と一緒にいることで、普段どのような点に注目しているか、どのように分析や改善をしているのかを間近で学ぶことができるでしょう。

本を読む、セミナーに参加する

営業にとって情報が豊富であることは重要なポイントです。原始的な方法と思うかもしれませんが、本を読むことによるメリットはたくさんあります。隙間時間や寝る前の時間などをうまく活用して情報のインプットを心がけましょう。

セミナーなどに参加することも有効です。セミナーで登壇する講師は、優秀な営業の場合が多いため、その言葉や内容から多くのことを学ぶことが可能です。営業セミナーや研修では実践的なプログラムが組み込まれていることが多く、普段の営業トークを客観的に指導してもらったり、他社の営業トークを知ることにより自身の営業方法を見直す機会になったりするでしょう。セミナー受講した際に重要なことは、学んだことをすぐに実践してみることです。実際に行動することで、学んだ知識を定着させられます。

自身で経験する

自身で経験した内容を元にセンスを生み出していく方法です。この方法は定着するまでに時間がかかりますがとても効果的と言えるでしょう。まずは現状の営業スキルやテクニックを把握、分析することから始めましょう。その後、プロセスごとに分岐点を作成・実行、そしてPDCAを回し改善点を洗い出し、課題の発見をします。そして、見つけた改善点を修正し実行することを繰り返していきます。このように戦略的に営業活動を行うことが重要で、意図のある行動を取ることで顧客がその意図に合致しているか否かを直接確認することができるでしょう。顧客の反応を客観的に分析することで、自分自身で判断できる能力を身につけられるでしょう。

まとめ

営業成績を上げるためには営業センスも重要な要素となります。営業センスは限られた才能のある人の能力だと諦めている方も多いかもしれませんが、実践と改善によって誰でも磨くことができます。

営業センスを身につける方法や自身に合う営業スタイルは人それぞれ異なるので、一つの方法に縛られるのではなく、様々なスタイルを学び、試しながら自分にあった方法を生み出していきましょう。

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