カスタマーサクセスは辛い?大変と言われる仕事内容、やりがいについても解説!

近年SaaS(Software as a Service)企業の台頭や、新型コロナウィルスの蔓延に伴い、カスタマーサクセスという職種が注目を集めています。
カスタマーサクセスとは『顧客(=カスタマー)が自社のサービスや製品を使うことによって成功し(=サクセス)、売り上げ目標などを達成すること』を指します。主にSaaS企業で用いられ、営業プロセスの一部としても扱われます。
セールスフォース・ジャパンが提唱している『The Model』では、営業プロセスを『マーケティング』『インサイドセールス』『フィールドセールス』『カスタマーサクセス』の4つの段階に分類しており、カスタマーサクセスは最後の工程になります。サービス導入のための営業活動ではなく、顧客が自社のサービスを契約してから解約されないよう継続的に使ってもらうための活動といえます。
そんなカスタマーサクセスですが、辛いといった声も散見されます。本記事では『カスタマーサクセスは本当に辛いのか』や『カスタマーサクセスの魅力』『カスタマーサクセスに向いている人はどんな人なのか』について解説します。

カスタマーサクセスが増えている背景

上述した通り、カスタマーサクセスが増えてきている背景には、SaaS企業の台頭や新型コロナウィルスの蔓延が挙げられます。カスタマーサクセスは、SaaS企業のように無形商材を扱うビジネスにおいて効果的な営業戦略なのです。サービスを導入する際、その価値を最大限活かすために必要な知識やスキルを伝えることが重要になります。

カスタマーサクセスはなぜ辛いと言われる?

ここからは、カスタマーサクセスが辛いと言われている理由を6点紹介していきます。さまざまな意見があると思いますが、自分に合っている職種なのか、魅力的に思えるのかを判断してください。

常にサービスを深く理解する必要がある

カスタマーサクセスが辛いと言われる理由の1つに、常に自社のサービスを深く理解しておく必要があることが挙げられます。サービスを顧客に導入してもらう際に、どのようなサービスなのかを正しく説明できなければ、顧客の信用を失ってしまうからです。
顧客には、自社サービスを導入してからどう使ってもらうかまでをレクチャーする必要があります。特にSaaSなどの無形商材を扱う企業では、使い方が分からないまま導入されてしまうと、良いサービスとして機能しません。売り上げ目標などの結果を残すことができずに、契約を解約されてしまうかもしれないのです。そのため、自社サービスを深く理解し、顧客の要望に応えられるようにしておかなければなりません。その際に必要なのは企業に適したプランの提案です。サービスの特徴を深く理解ができている人は顧客に適した提案ができます。

関係する部署が多く社内調整が多い

カスタマーサクセスが辛いと感じてしまう原因の2つ目として、関係する部署が多く社内での調整が多々必要になることが挙げられます。『買い切り型』の営業では、単にモノやサービスを売って終了になることが多いですが、カスタマーサクセスは『体験型』のサービスを売るため継続して体験を提供することになります。
上述した『The Model』では、インサイドセールスとフィールドセールスは別の担当が担う場合が多く顧客の情報共有が必要です。そのため、フィールドセールスが自社のサービスを導入してもらうにあたって営業をする際に、インサイドセールスがどんな話をしたのかなどを把握できていないとスムーズな商談に繋がりません。インサイドセールス側も、ただ商談に繋げるのではなく、フィールドセールスが上手くカスタマーサクセスに繋げれるよう、できる限り多くの情報を伝える必要があります。
また、顧客がサービスを使うことでサービスへの要望が生まれ新たな開発が生じます。カスタマーサクセスが開発に対する要望などを受けた際、自らの業務に対して直接的な関わりがないためクレームが来たと感じて辛いと思う人もいるのです。バックオフィスに関しても同様で、カスタマーサクセスはバックオフィス業務に関するクレームが辛いと感じてしまうことがあります。
カスタマーサクセスという業種は、顧客との関係性だけでなく自社のあらゆる業務の人々とも接点があり、情報を共有していなければいけないので大変だと感じることも多いのです。

顧客から厳しいフィードバックをもらう

カスタマーサクセスをする中で辛いと感じてしまう3つ目の原因に、顧客から直接フィードバックをもらう最前線に立つことが挙げられます。2つ目の原因のように、カスタマーサクセスはあらゆる職務の人と接点があり、情報を共有する必要があります。しかし、開発やバックオフィスに関する顧客からの要望などはカスタマーサクセスの対応範囲外であるにも関わらず、カスタマーサクセスが顧客と直接関わることになります。顧客からフィードバックをもらう最前線に立つため、厳しい意見を聞く場面があります。顧客に1番近いポジションである分、成果を生んだ際はとてもやりがいがあるのですが、上手くいかない時には顧客からのフィードバックに対して辛いと感じてしまうのです。

現状のサービスで満足してもらう

カスタマーサクセスで辛いと感じてしまう4つ目の原因として、現状のサービスで顧客に満足してもらう期間が必要ということが挙げられます。顧客から貰うフィードバックはサービスを改善できる良い機会ですが、特定の顧客の声のみに応えることは難しいです。カスタマーサクセスは変えることのできないサービスや機能で、顧客に満足してもらう点が難しい業務だとも言えます。
顧客が成果を上げられないと解約されてしまうので、現状の機能でいかに満足してもらえるかを考える必要があります。顧客に寄り添って活動していく中で、解約が増えてしまうと辛いと感じてしまうでしょう。

顧客へのアクション

カスタマーサクセスが辛いと感じてしまう5つ目の原因としては、顧客に積極的に動いてもらうためのアクションをすることです。自社サービスの質が高くても、顧客にサービスを積極的に利用してもらわないと成果には繋がりません。そのためカスタマーサクセスが細かく利用状況を管理して、滞っている場合は介入する必要があります。また、サービスを利用してもらえないと解約のリスクも高まります。
顧客にアクションをしすぎると、『面倒だな』と感じさせてしまうため、節度のある介入が重要です。無理やりアクションしてしまうと押し売りしているように感じ、辛いと感じてしまうことがあります。

売り上げ責任のプレッシャー

カスタマーサクセスが辛いと感じてしまう原因の最後は、売り上げ責任を持つため数字を追うプレッシャーがあるということです。上述した通り、The Modelの営業プロセスでは、カスタマーサクセスは最後の順番でありサービスを継続利用してもらうためのポジションです。カスタマーサクセスが上手く成果を残せないと、顧客が解約してしまい売り上げが落ちるため、とても重要なポジションだと言えます。重要なポジションである故に売り上げを上げる責任があり、プレッシャーがかかります。
カスタマーサクセスは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスなど他のメンバーが繋いでくれたバトンを握るため責任が重く、上手くいかないと文句を言われる可能性があります。そのため、『結果を出せていなくてどうしよう』とプレッシャーを感じてしまい、辛くなるのです。

カスタマーサクセスの魅力

ここまで、カスタマーサクセスが辛いと感じてしまう原因を6点説明してきましたが、もちろん魅力も存在します。ここからは、カスタマーサクセスの魅力について4点紹介していきます。

顧客に1番近い存在として寄り添える

カスタマーサクセスの魅力1つ目は、顧客に1番近い存在として寄り添えることです。カスタマーサクセスは顧客にサービスを継続利用してもらうために自社の顔として顧客と関わりを持ちます。顧客が自社のサービスを褒めてくれたり、担当のカスタマーサクセスに対して感謝してくれたりする機会がやりがいに繋がります。また、顧客が自社のサービスを使って成果を上げた際にはとてもやりがいを感じるでしょう。

サービスの改善、新規機能開発に携われる

カスタマーサクセスの魅力2つ目は、サービスの改善や新機能の開発に携われる点です。顧客にサービスを継続利用してもらうため、カスタマーサクセスはサービスの品質向上に携わる必要があります。顧客と1番近い存在であるため、自分が考えたサービスの改善や新たな機能が反映されることがあります。そのように、自身の経験をサービスに落とし込めることは大きなやりがいに繋がるはずです。

求められるスキルが多くキャリアアップに繋がる

カスタマーサクセスの魅力3つ目は、習得したスキルがキャリアアップに繋がることです。カスタマーサクセスに求められるスキルは、顧客に寄り添うための『コミュニケーションスキル』や、より良いサービスにしていくための『分析力』『行動力』などが挙げられます。また、顧客の行動に応じて高速でPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回す必要もあります。
カスタマーサクセスとして成果を上げるためには、必然的に幅広いスキルを習得する必要があるため市場価値の高い人材になれるでしょう。

今後も市場価値が高まっていく職種

カスタマーサクセスの魅力4つ目は、今後も市場価値が高まる職種であるということです。SaaS企業の増加や新型コロナウィルスの蔓延に伴い、カスタマーサクセスの需要は高まっています。3つ目の理由で説明したような幅広いスキルを身に付けられ、今後も市場価値が高まる職種であると注目されています。単純作業はAIやロボットが取って代わる現代社会で、市場価値を上げられるでしょう。

カスタマーサクセスに向いている人

ここまで、カスタマーサクセスの魅力について紹介してきました。カスタマーサクセスを経験してみたい、面白そうと感じた方も多いのではないかと思います。ここからは、カスタマーサクセスに向いている人の特徴を4点紹介していきます。是非、カスタマーサクセスに適性があるのか考えてみてください。

顧客の成功を喜べる人

カスタマーサクセスに向いている人の特徴1つ目は、顧客の成功を自分の成功のように喜べることです。カスタマーサクセスは名前の通り、『カスタマー(=顧客)』に『サクセス(=成功)』してもらい成果を上げる業務です。顧客に寄り添い、顧客のために働かないと、売り上げを伸ばせません。
顧客に自社サービスを継続して使ってもらい、顧客が成果を出すことに心の底から喜べる人が結果を出せ、自分のことばかり考える人は向いていないと言えるでしょう。顧客の成功を思って動き、感謝されることにやりがいを感じれる人がカスタマーサクセスには向いています。

チームで成し遂げることが好きな人

カスタマーサクセスに向いている人の特徴2つ目は、チームで何かを成し遂げることが好きな人です。カスタマーサクセスはマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスがバトンを繋いでくれるポジションです。他部署との情報共有などが重要な職種で、他チームとの連携なしでは結果を出すことは難しいです。そのため、チームで何かを成し遂げることがやりがいに繋がる人は向いていると言えます。

コミュニケーションが好きな人

カスタマーサクセスに向いている人の特徴3つ目は、コミュニケーションが好きな人です。カスタマーサクセスは顧客と関わることはもちろん、他部署のメンバーとも関わるため、たくさんの人と関係を持ちます。そういったコミュニケーションが苦手な人であれば、カスタマーサクセスは向いているとは言えません。むしろ積極的にコミュニケーションを取り、情報共有をしないといけないので、コミュニケーションを取ることが好きな人はカスタマーサクセスに向いています。

幅広いスキルを身につけたい人

カスタマーサクセスに向いている人の特徴4つ目は、幅広いスキルを身につけたいジェネラリスト志向の人です。上述した通り、カスタマーサクセスでは幅広いスキルが求められます。そのため、1つのスキルに特化したプロフェッショナルになりたい人は、カスタマーサクセスにあまり向いていません。

カスタマーサクセスに向いている人について、より詳しく知りたい方はこちらのページも参考にしてみてください。

まとめ

ここまで、カスタマーサクセスの辛い点や魅力、向いている人について解説してきました。カスタマーサクセスをする上で辛いと感じてしまうこともありますが、その分やりがいがあり魅力的な職種でもあります。幅広いスキルを身に付け、キャリアアップを目指している方にとって転職オススメの職種なため、カスタマーサクセスの需要が高まってきている今、この記事が挑戦してみたくなるきっかけになればと思います。

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